第3話 主人公-3

「じゃあ、希望のポジションを、聞かないと。リョーコは?」高松

「サード」リョーコ

「げ、俺と一緒?」木村

「よろしくね」リョーコ

「エリナは?」高松

「え、あたし?あたし、外野」恵理奈

「どこでもいいの?」山本

「うん」恵理奈

「じゃあ、外野、っと。えーっと、しのぶちゃん、だったね。どこが希望?」高松

「希望なんて…。あたし、実は、野球、よく知らないんです」しのぶ

「じゃあ、とりあえず、テストだけしておこう。それから、えーっと、名前は?」高松

「清水朝夢見です」あゆみ

「あゆみちゃん、ね。あゆみちゃんは?」高松

「どこでもいいですよ。あたしは」あゆみ

「ルールは知ってる?」高松

「まぁ、一応」あゆみ

「じゃあ、テストしておこう。それから、っていうことで」高松

「じゃあ、次、グラウンド使えるのが、日曜だから、日曜にテストしようよ」小林

「そうしよう」高松

「あのぉ、テストって何するんですか?」しのぶ

「そうだな、遠投と、守備と、バッティングくらいかな。もし、ピッチャー希望なら、投げてもらうけど」高松

「うちは、サンディと小林がいるから、もうピッチャーはいらないけどね」池田

「そんなことないよ。左ピッチャーがひとりいたほうがいいよ」小林

「そう言われれば、そうだな」池田

「心配すんなって。もし、必要なら、オレが投げてやるよ」山本

「いいよ。山本じゃ、池田がかわいそうだ」小林

「どういう意味だよ」山本

「ま、そういうことで。明日は公園のグラウンドで練習するんだけど、来れる?」高松

「あ、あたし、アルバイトが」しのぶ

「あたしも」あゆみ

「アルバイト?いいの、そんなの?」山本

「特例で認められてるの」あゆみ

「そう。じゃあ、明後日、日曜の午後、ここで、テストするから、運動できる格好で来てね」高松

「はい」しのぶ&あゆみ

 しのぶは目を輝かせて答えた。


 更衣室で着替えてグラウンドに出ると、もう愛球会の面々は揃っていた。一際目立ったのは、ウォームアップをしている涼子の姿だった。髪を振り乱している様は、気合がありあまっているようだった。

 亮が、しのぶと朝夢見の姿を見つけて手を振った。それに気づいた皆が二人に視線を向けた。しのぶはちょっと手を振ったが、向けられた視線に緊張してしまい手を引っ込めた。朝夢見はニコニコしながら、そんなしのぶを見つめていた。それが一層しのぶを恥ずかしく思わせてしまった。しのぶは、顔を赤らめて身を小さくした。


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