第7話 穂花 ①
年寄りの朝は早い。夜更かしをしても5時には目覚め、トレーニングウエアに着替えて散歩するのが日課だ。
帰宅してご飯、味噌汁、納豆、サラダといつもの朝食メニューだ。
ピンポーン、月曜の朝9時、
「源さん、おはよー」
「穂花、おはようさん、今日も頼むな」
うんと言って早速エプロンをつけて作業に入る。
普段から自分でも片付けているのだが、もう10年アルバイトで来てもらっている。
まず洗濯機を回して、キッチンに向かいシンクやIHコンロを手際良く拭きあげていく。
「あー、また惣菜ばかり食べとるね? 減塩せんといけんのじゃけん、ちゃと自炊せんとダメじゃん」とゴミ箱を見てプンスカ言っている。
キッチンが終わると各部屋を片付け掃除機をかけていき、洗い終わった洗濯物をベランダに干していく。毎度の事とは言ってもなんとも手際がいい。
「源さん、お昼は何が食べたい?」
「ほうじゃのぉ、昨日焼肉じゃったけえ、軽いもんか魚がいいかのぉ」
「ほいじゃあ、スーパーに夕食の分も買い物行って決めようか?」
そう言うとエプロンを外して腕を絡めて、じゃあ行こうと可愛く微笑む。
スーパーに着いてワシがカートを押しながら穂花の後ろをついて行く。
「あ、メバル大きい! これで煮付けとかええんじゃない?」
「ええのお、それいこうか」
「あと一品なんがええかねえ」
そう言って穂花は次の食材を探し始める。
昼食を食べて食休みをしている間に穂花は作り置きのできるオカズをどんどん作っていた。
「よし、あとはレンジで温めて適当に食べてね」そう言いながらタッパーに作った物を詰めていく。
やっとひと段落してワシの座っているソファーの隣に穂花は座ってきた。
いつものように肩を抱き寄せキスをする。そして寝室のベットに穂花を抱えて行き、熟した体も中も堪能した。
事後しばらく抱き合いながらこの一週間の話をする。
穂花は27歳、エリートな旦那とはもう何年もレスなのだ。
地元でそこそこ知られた企業の社長の娘である穂花は大学卒業後、親の持って来た3歳上の男と見合いをして結婚した。いやさせられたと言っていい。親同士の利益のための政略結婚だった。結婚してわかったことは旦那は家にほとんど帰って来ず、結婚後数回セックスしただけらしい。
「じゃあシャワー使うね」と言って風呂に向かった。
まったくワシが20歳若ければ出会った頃に結婚してもよかったがなあ
源三はそう思いながら穂花と出会った時のことを思い浮かべた。
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