第73話 それぞれの結末…
モエは立ち直るまでにしばらく時間がかかった。恋愛に対してトラウマになってしまった。
ユウスケのことを、あんなに許して愛して思えていた「好き」と言う気持ちが悲しかった
どんなに冷たくされても「愛おしい」と言う感情を持っていた自分が切なかった
そんな風にまで思えていた相手に悲しい事をされたのが堪らなく辛かった
ユウスケの気持ちはどうだったの?
少しでも本当があったのかな…
あんなに、
「もう離さない」「モエがいないと駄目」
って、言っていたのに
全部嘘だったのかな…?
どういう気持ちであんな事ができたのかな…?
あんなに思い合えていたと思っていたのは私の錯覚だったのだろうか
どうやったら
あんなことが愛する人に出来るのだろうか
そもそもちゃんと愛されていなかったのだろうか
わからない…
わからない…
真っ直ぐ愛していたモエの愛情と
歪んだ形でしか表現できないユウスケの愛情は
激しく音を立てて壊れてしまった
そして、その愛情は交わることはなかった
結局、
2人は
あれから2度と会うことはなかった
モエは…
自分のサロンが流行り、充実した毎日を送っている。弟子もできて人も雇い忙しすぎずに安定した穏やかな毎日だ。
ユウスケと別れてから数年はトラウマで恋愛がなかなか出来なかった。
けれども、今は心から愛し合える恋人がいる。
離婚はまだしていない…
ユウスケのことは、ほとんど思い出さなくなっている。
時折、思い出して…
「あんな時があったなぁ…。あの歳月はずっと苦しかったけど、お陰で今がある。私を色んな意味で成長させてくれた人だったなぁ。今なら心から感謝できるなぁ。」
一方ユウスケは…
あれからずーーと、忙しさは変わらず休む日まもなく仕事を続けていた。
都合の良い女を騙してはセックスをたまにしたけれど、彼女は出来なかった。女ができてもこんな性格だからみんな逃げて行ってしまう。
そして、ユウスケも離婚はしていない。
そして、60歳の時…
長年の無理が祟って脳梗塞で倒れてしまう
幸い命には別状はなかったが
半身麻痺になり、ちゃんと歩くのもままならずユウスケにとって1番苦しい生き方になってしまった
仕事もやめざるを得なくなり社長を退任する
お金もなくなり
金にならなくなったユウスケからは人は去っていき
家族は今更!と思い物凄く冷たい
それでも家族に感謝するということはユウスケには発想もできない
そんな時、モエの事を思い出す
「アイツは今、何してるんだろう…」
当時の怒りと共に、なんとも言えない懐かしさと悲しさがこみ上げてくる
でも、その感情にはすぐに蓋をする
そして、不幸な自分の人生を呪い
心の底から思う…
「俺の人生っていったい、なんだったんだろう…俺が何したっていうんだよ!!
クソッ!!」
…THE END
※最後まで読んで頂きありがとうございました。氏名、年齢以外は全てノンフィクションです。
名もなき毒 憂凪69 @yuunagi69
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます