第48話 囚われた心

「久しぶり」

「おう。」

「お母さん、大変だったね。」

「まっ、長かったからね。色々とね。」

「もう大丈夫なの?」

「まぁ。」

「色々、ごめんね。」


そんなぎこちない会話をしながら再会する

もう2度と会わないと心に決めたのに、こうやってまた会ってる

だから、ユウスケにつけ込まれるんだろうし、絶対的に立場はいつも下だ

完全に甘く見られている

分かっているのにどうして会ってしまうんだろう

辛いだけなのに

二人に未来なんて存在しないのに

また意味のない苦しみを味わうんだろうな


いつものようにホテルに行く

セックスをするのだけれど、なんかよく分からない

ユウスケは私と本当に会いたかったのだろうか?

私はユウスケに会いたかったのだろうか?

お互いにもう分からなくなっている気がする

なんか終わらせることのできない執着のような関係なんだと思う。


そう言えば…

私とユウスケはどうやって会話してたんだっけ?

いつの間にか私は何を話して良いのかわからなくなっているし、どの話も私達に共通点は無くて…

改めて生きている世界や興味関心の方向が全く違うということに気付かされる


そして、ユウスケは私のことを色々と知らない

誕生日も血液型も家族構成も新しい苗字も好きなバンドも好きな食べ物も…

何も知らないし知ろうともしない

興味が無いのかな…って思う

私から話して伝えても忘れてしまうし、流されてしまうから次第に私からも話さなくなった

勿論、ユウスケから話をすることや質問なんて皆無に等しいから

セックス以外での会話は殆どない


ラインだってユウスケから入ってくるのは、エロい会話しかない

そもそも未読無視がベーシックだからどうしようもない。

自分がムラムラした時にだけエロいラインをしてくる

これは、セフレなんだろうか?

これは、都合の良い女扱いなんだろうか?


だったら私もそうやってやってやる!

って思うんだけどそれが出来なくて、いつも傷ついて苦しむ

好きになってしまうのかコントロールされてしまうのか、とにかく囚われてしまう


そして、またこうやって囚われの身になってしまった


そして、今日もまた2時間くらいでお開きで私がホテル代を支払う

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