第47話 ショートメール届いてますか?

あれから半年が経って…

もうユウスケのいない生活に慣れ始めた

時間が経てばどうってことない

「日にち薬」が効いてきたらしい


あの辛い罪悪感や虚無感、敗北感、無価値感から解放されて少し楽になってきた

良かった。これで良かった。


家族でサイクリングをする

菜の花畑を自転車で走る

幸せなんだな。

こういうのがきっとみんなの言う幸せなんだろうな。


これで良い。


ショートメールがくる。

「今、FBのメール読んだ。気付かなくてごめん。今になってごめん。」


ユウスケだ…。

こうやってまた、私の安全や平和が崩されていく

だから、無視をする


翌日、またショートメールが入る

「届いてますか?」


その翌日も同様に

「ちゃんと届いてる?メッセージ受け取ったよ。怒ってないよ。」


何日も入る

「返事ちょうだい。届いてますか?」


あまりにも毎日入るから思わず返事をする

「届いてます。もう、大丈夫だから忘れてください。」

「届いてた。良かった。あのメッセージなんで気付かなかったんだろって悔しかったんだ。」

「それはごめん。忘れて。もう大丈夫だから。」

「嫌だよ。忘れないしあのメッセージは有効だよ。」

「もう大丈夫だから。こういうのもうやめにしたいの。辛いから。」

「嘘ついて逃げるの?」

「そういうんじゃなくて…」

「メッセージでもう、離れないって言ってるじゃん。それでいいじゃん。」

「うん。気持ちはあるからさ、物理的には難しいよ。」

「会えばいいじゃん。」

「会わないよ。」

「会いたかった。」

「私はもう会わないよ。」

「あの後、おふくろが死んでさ。モエにめっちゃ会いたかった。」

「そうなの?!大変だったんだね。そんな時に連絡取れなくして本当にごめんなさい。」

「じゃあさ、会ってよ。」

「え…。でも、私決めたから…。」

「会うだけでいいよ。それだけなら良いじゃん。」

「うん……………でもな…………。」

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