第26話 バランスのとり方

帰りの新幹線でユウスケの性癖が始まる

公共の場とか人に見られそうな場所で

行為に及んだり刺激を味わうのがユウスケの性癖


正直、私はあまり好きじゃない


でも、興奮するらしいから付き合ってあげる

新幹線でいつものように触ってくる

声をこらえさせてそのスリルを味わうのが好み


正直、感じない


でも、感じたフリをする

彼は私のことをよく見ていないから、私の演技にはいつだって気付かない


早く終わればいいのに…


さよならをして、別れる

また、会うのだと思う


それからも、

急に夜中に呼び出されたり、

泊まりになったりユウスケのペースで会う


「ねぇ、会いたいから来てよ」

「いいよ」

1時間半かけて会いにいく

「待ってたよー」

そう言いながら私の手を自分の顔に持っていって甘える

「俺、女子高生みたい(笑)なんか、嬉しい。」


こういう事するからユウスケから離れられなくなる

結局、「かわいい」と思ってしまっている


車でセックスをする

電話がなる

「あ、もしもし。わかったー。今から行きまーす。」

どうやら、他の飲み会に誘われたらしい。

おい!私は遠くから来たんだぞ!なんでだよ?!

そんなことを気にするわけもなく

「呼びだされたから、そこまで送ってー」

「わかった」

なんてこったい!!

素直に反応してしまう


なんか、元々言えなかったけど、

この関係性が更に言えなくする

わがままを言って良い立場ではない気がしてしまう

お互いのプライベートを奪ってはいけない気がしてしまう

ただ、私は合わせてしまっているし向こうは合わせたりはしないから

俗に言う、都合の良い女になりさがっているだけなのかも知れない


なんか、それでも良い気がして

その方が気が楽だしのめり込まないで済むから

自分を守ることが出来るような気がする


そう言い聞かせてバランスを取る

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