幕間――Age12

 頭から離れないのだ。


 もちろん、私に向かって言ったんじゃないって分かってる。


 それでも考えてしまうのだ。もしかして、私のことをずっと見てくれたんじゃないのかなって。

 だって、そうじゃなきゃ私が笑っているフリをしているなんて気が付かないでしょう? いやもちろん、私に向かって言った訳じゃないんだけど。全て勘違いなんだけど。

 だけど、そうやって分かってても思い出してしまう。


 この前の英語の授業で、凛が笑いかけてくれたこと。

 修学旅行の夜、皆で一緒にトランプをしていた時に、罰ゲーム二回目だからしなくてもいいよって言ってくれたこと。

 私が朝の会で好きな本の紹介をした後に、図書室でその本を借りていたこと。


 期待を、してしまう。

 鎌倉めぐりの時に、凛が好きな子の話題でからかわれていたことを知っているくせに。

 だから、きっと、これが恋ってやつなのだと思う。

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