VRは世の中をどう変えるか?

 またまた拙著『コールドスリープから目覚めたら異世界だった……?』からの転載で申し訳ございません。↓(小説のURLは下記です)

 https://kakuyomu.jp/works/16816452220058303346


 ただ小説におまけの参考資料として載せた時も「これって小説じゃなくてエッセイとかで書いた方が良いやつじゃない?」と思っていた内容で今後議論していく、科学テクノロジーが進歩することでファンタジー世界の『魔法』のようなものは実現するのか?というテーマとも関わってくる内容なので、ここに転載させていただきます。


 おそらくこれも後から見直してエッセイ用にまた書き直すと思います。


 それでは以下から小説の参考資料の転載になります。

 Here we go!



【VRは観光業を駆逐するか??】


 これは観光業に携わってる人はけっこう戦々恐々としているかもしれません……


「VRが浸透したらVR旅行でうちの地域の観光も済まされてしまって、実際に現地に来てお金を落としていってくれなくなるんじゃないか……?」


 みたいな話はけっこう耳にします。



 でも、おそらく事態はもっと深刻かもしれません。



【『トータル・リコール』な世界?】


『トータル・リコール』はフィリップ・K・ディックが1966年に発表した小説『追憶売ります』(We Can Remember It for You Wholesale)をポール・バーホーベン監督が映画化したSF映画です。

 アーノルド・シュワルツェネッガーが主演を務めたことでも有名ですよね。


 以下、『トータル・リコール』に関する重大なネタバレが含まれてます。

「まだ見てないよ!これから見ようと思っていたのにネタバレはやめて!」という方はここで引き返してください。


「もうすでに見た」「ネタバレなんか気にしないよ!あとでちゃんと映画も見ます」という方はどうぞ先へお進みください。

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 この映画はVRの火星でシュワちゃんが大冒険する映画です。

 映画の最後にシュワちゃんが「あれ?これってVRだったの?」みたいな感じで終わってしまいます。

「VRについて書いてるんだからそんなことだろうと思った」と言われそうで、それは本当にすみません。m(_ _)m


 良い映画なのでぜひまだ見てない方は見ていただけたらなと思います。

 けど、ここで言いたいのはVRなら気軽に火星だって旅行できちゃうよ!という話です。


 例えば今、火星に旅行にいきたいと思っても、実際は行けませんよね?

 行けるようになったとしてもめちゃくちゃお金がかかりそうです。


 でも火星探査とかもけっこう進んできているので、今、火星をVR空間内で再現する為のデータってけっこう溜まってきてる気がするんですよね。

 参考①の「VRについてのあれこれ、フルダイブ型VRはいつ実現するか?」でも書きましたが、フルダイブ型VRは2030年くらいに実現しそうです。


 実現すればあたかも自分が本当に宇宙服を来て火星を冒険しているような気分を味わえちゃいます。(そうなるはずです……たぶん?)

 他にも生身じゃいけない海底何千メートルとか、チョモランマのてっぺんとかにも安全にお金をかけずに旅行ができ、これまで誰も味わったことの無いような感動、あるいは極々一部の人しか味わったことが無いような感動を誰もが気軽に得られるようになります。


 たぶん、こっちの方が観光業に対する脅威度としては高いのかな~という気がします。

 それにVRではもっとすごい体験も出来ちゃったりします。



【ホムンクルスは脳内イルカを操縦できるか?】


 VRの業界では「ホムンクルスの柔軟性」という有名な理論?考え方?があるんですが、この話を初めて聞いた時、僕は「めっちゃ、おもしろいやん!」って思いました。


「ホムンクルス」という言葉にちょっと厨二ごころをくすぐられてしまうんですけど……

「なになに?錬金術の話ですか?ホムンクルス、錬成しちゃう感じなんですか??」って思っちゃったりするんですけど……

 全然違う話みたいです。


 これはヨーロッパの方で「脳みその中に身体を操縦しているホムンクルスという小人が住んでますよ」という昔ながらの話があって、それが元になった表現みたいなんですが、VRの中で人間以外の生物――イルカとか鳥とかロブスターとか、はたまた三本腕の人間とか――を操作してもらうと、けっこう脳みそはそれに対応できますよ!という話のようです。


 別の身体構造の生き物になった場合でも人間の脳の運動皮質は増えた手足やこれまで無かった身体の器官に適応して操れる様になるみたいで、おそらく身体所有感(VRの中のアバターを脳が自分の身体だと感じる能力)もあるみたいですね。


 ロブスターの場合、腕を動かすとエビの足一本の動きに対応させ、腕の動きと直接関係無い上腕二頭筋の運動を別のエビの足に対応させるなどの工夫をして操作させているみたいです。(海老の方が人間より手足の数が多いので上腕二頭筋とかも使って操作している感じです。)

 VR空間内で手と足の動きを逆転させても人間の脳は短時間で適応できるし、3本目の腕の操作にも5分程で慣れることができるそうですよ。


 生物学者さんは人間が動かせる生物の種類(動かしやすい生物とそうじゃないものがある)は生物の進化樹に関連しているかもしれないと言っているそうで、人間が進化の過程で通った生物種や途中で進化の道が分かれたとしても比較的近い生物種などは動かしやすいかもしれないということだそうです。

 そうすると人間も太古の昔には海に住んでいる哺乳類とかだったんだと思いますので、イルカの身体を動かすということは案外スムーズにできるようになって、VR空間内ではあたかも自分が本当にイルカになったように感じられるということもあるかもしれません。


 こうなると「VR旅行で綺麗な海に行ってイルカといっしょに泳ぎましょう!」じゃなくて、「VR旅行でイルカになって海の中を自由に旅しましょう!」という本当に生身じゃ体験できない様な旅行を楽しむことができるようになってしまいます。


 あとこれはちょっと妄想の域をでないかもしれないんですが、イルカのエコーロケーションっていう超音波を出してその反響で暗い海の中でもどこに何があるのか把握するっていう能力があるじゃないですか?

 あれって人間の脳みその中にエコーロケーションに対応する機能がある(残っている?)としたら、VR空間の中で人間にも同じ体験ができるかもしれないですよね。


 それにはイルカがエコーロケーションをする時に脳をどうつかっているのか?に関する十分な調査を生物学者が行うことが条件になってくると思いますが、イルカのエコーロケーションをしている時の脳の電気信号を、BCI(ブレイン・コンピュータ・インターフェイス)で人間の脳の中の対応する位置に送ると同じような体験ができるかもしれません。


 そうすると単にイルカっぽいものになって海を自由に泳ぐ体験じゃなくて、イルカそのものになってエコーロケーションで深海に潜り、見たことも無いものを見て、感じたことが無いものも感じられるという不思議な体験ができるようになるかもしれません。


 アメリカの哲学者トマス・ネーゲルが「コウモリであるとはどのようなことか」(英:What is it like to be a bat?)で言っていたような体験がVRでなら実現できるかもしれません。

 ※ネーゲルが言っていたのはこういう意味ででは無かったんですが、「コウモリになって超音波の反響定位で周囲の様子を感じるような経験は人間には理解できない感覚の質だろ?」というようなことを「VRではできるじゃん!」ってなりそうです。


 たぶんVRのこういう可能性が観光業にとっては一番脅威になるのかもしれません。



【観光業はVRにどう対応したら良いか?】


 これは正直言ってよく分からないな~とは思うんですけど、確実に言えることとしては、2030年にフルダイブ型VRが実現すると観光業に必ず影響が出てくるということです。

 なので観光に携わる方は今の内から準備をしておいた方が良いということですね。


 VRの旅行の方が楽しいじゃん?って言われると正直、観光地の人たちはすごく困ってしまうと思うんですけど、逆に今の段階から情報をキャッチして動き出してくおくと思わぬビジネスチャンスとかが出てくるかもしれません。


 個人的に思うのは、おそらくVR業界の方はVR空間を充実させるためにこれから観光地が持ってる貴重なデータをめちゃくちゃ欲しがると思うので、そこにビジネスチャンスがあるのかなぁという気がします。

 たとえば京都に旅行するVR体験をしたいと思ったとして、VRの中でも京都に言ったら生八つ橋とか食べたくなると思うんですよね。

 VR業界は「生八つ橋を食べるとはどんな感じか?」に関する脳のデータを非常に欲しがると思います。


 そこで生八つ橋を造られているメーカーさんが「生八つ橋体験デジタルデータ(味、香り、持った時の感触、食感…etc,)」をVR事業者に販売し、そのVR事業者がVR京都旅行を提供する時にVR空間内でお客さんがVR生八つ橋を食べた際に料金をもらって、その一部をメーカーさんにお支払いするみたいなビジネスモデルは今後出てきそうかなという気がします。


 なので、これは別に観光地だけじゃなくて飲食店とかでも言えるのかもしれませんけど、自分だけが提供できる体験に価値があるならその「体験データ」を販売して、そのデータが使われる限りずっと利用料をもらい続けるということは今後のトレンドになるかもしれません。



【他にも書きたかったこと!】


 かなり長文になっちゃったので今回はここで切り上げたいと思うんですけど、本当は「VRMMORPGで【賢者語】みたいなシステムって本当に出てきそうなの?」とか「VR空間で恋愛したらどうなる?」とか、「VRで構築されたシステムが他の分野にどう影響するか?」、「デジタルフットプリントで解析した人間の行動心理がビジネスでどう活用されそうか?」とかいろいろ書きたいテーマはたくさんあるんですけど、もしこういうマニアックなやつが皆さんの興味をひきそうなら書いてみたいなって思います。


 あと、僕はVRの研究者とかじゃないので、間違っていること書いてたらぜひぜひ教えてもらえたら嬉しいです。

 よろしくお願いします!

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