第11話 アンナちゃんとの出会い 1
アンナちゃんとの初めての出会いは、ある意味運命的なものだった。
俺とアンナちゃんが出会ったのはまだお互いが5歳の時。
ある日俺が父上と一緒に街に出かけた時のこと。
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「父上!今日はこれからどこに出かけるのですか?」
「今日は商会と大事なお話をしにいくんだ」
「なら俺僕も連れてってください!」
公爵家の貴族ということもあって、俺はこの世界に生まれてからほとんど家の庭から外に出たことがなかった。
外に行くには大人についていくしかないと思った俺はそんなことを父上にお願いした。
家から出たくてしょうがなかったんだよ
そしたら案の定、父上は苦笑した
「まだスルトは小さいからなぁ。行ってもつまらないぞ?」
5歳児に商会の話なんてもちろんわかるわけないし、父上がそういうのは当たり前のことなんだよね。
でも
「それでも行きたいです。父上がお仕事を頑張っていることをぜひこの目で見て見たいのです!」
もちろん見たい気持ちがゼロなわけじゃないよ?ただ外に出たかったって理由が無いわけじゃないけど
でも嘘じゃないから大丈夫!!
「馬車に乗って移動するだけだぞ?乗り心地も良くないし。ホントに来るのか?」
「はい!行きます!大丈夫です!」
「まぁ、それなら良いが...」
やった!外出許可を勝ち取ったぞ!!バンザーイ!
ぴょんぴょん飛び跳ねてたら、釘を刺すように
「ただし、途中で帰りたいと言っても聞いてやれんからな?」
と、言われたけど、大丈夫
だって俺前世は一応社会人になるまで生きてきたわけだから、そんぐらいの覚悟はある。俺を舐めるなよl!
...とは言えないから
「大丈夫です!」ニコッ
結局は笑顔よ
そして
「おええぇぇ」
無事しっかり酔った。
なんやあれ!乗り心地悪すぎない!?
この世界に生まれて約5年経ってるが、もちろん治安がにほんのようにいいわけなかった。
さらに公爵家の息子ということもあって外に出たのは両手の指で数えられるほどしかない。
そんな数少ない貴重な機会だー!と思って、馬車に乗ったが最後、とんでもない目にあった。
父上には乗る前
「だいぶ揺れるが、本当にいいのか?」
と最終確認されたわけだが、貴重な機会を逃すわけにもいかず、意気揚々と馬車に乗った。
馬車の中は赤のカーペットが敷かれていてまるで新品のように綺麗だったから踏むのを躊躇ったが、上級貴族に生まれたのだししょうがないと思って中に入った。
カーペットは見た目に違わずフカフカで椅子にも白く綺麗な座布団?なるものがあった。
正直、馬車の乗り心地が悪いのは転生あるあるだってわかってたけど、こんなに居心地いいし大丈夫だろうと思っていた。
だって日本にあったどの車より乗り心地良かったんだもの。
馬車に乗り、進み出すまでルンルンしながら馬車の外を眺めていた。
そしてその結果がこれよ!
マジでしんどいんだけど...地面デコボコしすぎでしょ
日本で車が快適だったのは車の特質じゃなくて、道路の滑らかさだったとは!
そんなことを考えなが顔色を悪くしている俺を一目見て
「しょうがないやつだなぁ、スルトは」
と朗らかに笑い頭をクシャクシャ撫でてきた。
「これから商会の中に入るからな。シャキッとするか外で待ってるかどっちにする?」
「外で待ってます...」
「そうか。では気分が良くなったら護衛と一緒に街を見てくるといい。貴重な経験になるからな」
「ホントですか!?ありがとうございます...うぷぅ」
まさか父上から街を見てくる許可が得られるとは!
「それでは私は行ってくる。問題を起こさぬようにな?」
「わかりました!」
よし!それじゃあ街を見に行くか!もちろん徒歩で!!
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