第12話 冒険者活動への一歩
訓練を始めてから4年の月日が経った。
その間に師匠たちと模擬戦をしたり、冒険者としてダンジョンに行ったり、恐妻(予定?)に町に連れ去られたり、色々なことが起きた…
そのことはおいおい話していこうと思う。
すごく大変だったんだぞ…
まあ、そんなしみったれたことはおいといて、今日は俺の12歳の誕生日だ!!
ついになれたぜ!12歳!とテンションぶち上げ状態で着替えている。
何故テンションぶち上げなのかって?
それは12歳というのはこの世界で大きな意味を持つからだ。
この歳からこの世界の人間は子供ではなく日本でいうところの学生みたいな扱いになる。
つまり今まで以上の自由を手に入れる代わり自己責任が発生してくる。
例えば子供の頃店のものを壊したりしても親が弁償してくれたが、今日からは親に借金をして弁償してもらうことになるのだ。
だから12歳の誕生日はあまり喜ぶ者が多くないが…
中身が人生2周目の俺からしたら喜ばしいことこの上ないことなんだ!
しかも今日から俺は冒険者になることができる!
家の経営やらなんやらは兄達に任せて悠々自適に生活できるようになったんだ!
世界を自由に旅できるし、そこで色んなものが見れる。
まだ見たことない種族とかいっぱいいるからな。見たくてウズウズしてくる。
一応まだ後継者が決まってないから父上の許可が出ないと冒険者になれない。
だから念のため聞いてみることにした。
◇◇◇
『コンコン』
「父上。スルトです」
「おお、入れ」
父上は執務室で忙しそうに書類の確認をしていた。
「どうした。おまえが訪ねてくるなんて珍しいな」
いつもの鋭い眼差しにいくばくかの優しさを込めて顔を上げた。
「父上!今日で俺も成人です!冒険者証を発行しに行ってもよろしいですか?」
俺は執務机に手を乗せ、乗り出して言った。これで俺も冒険者だ!なんて浮かれた気持ちでいたが…
「冒険者になることは認めよう。しかし、そろそろレリオン帝国学院の試験があるからな。しばらくは筆記の勉強に時間を注ぎ込んでもらうことになる。」
「なっ…!」
帰ってきた反応は想定してものじゃなかった。
「スルトが学力でも武術でも魔術でも優れているのは知っている。ただ公爵家の者として相応の成績をおさめなければ他家に示しがつかないからな」
父上は苦笑しながら諭すように言った。
「そ、それならせめて今日だけはダンジョンに潜らせて欲しいのですが…!」
「ハハッ、そんなに冒険者活動をしたいのか。だがダメだ。いくらスルトが強いとはいえ初めてのダンジョン探索を1人でさせるわけにはいかない」
「そんな…」
「それにここから近いダンジョンは低級なモノばかりだからな。行ったところで今のスルトには意味がないだろう。今は勉強に邁進しなさい」
父上は諦めなさいとでもいうかのように頭を撫でて仕事に戻った。
これは説得するのは無理そうだな…そう感じた俺はせめて試験が終わった後活動することを許してもらおうと思った
「父上、それなら試験が終わった後はダンジョンに潜ってもいいですか?」
「まあ、それなら良いだろう。はじめての時は誰かに付き添わせるがそれ以降は好きに潜って良い。学校が始まるまでに精一杯実力をつけくるように」
「父上、ありがとう!」
部屋を出た俺は自分の部屋に戻り、執事に勉強道具をもらって勉強をやることにした。
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