第20話 イフリートとの闘い

第10階層を攻略したソルは引き続き第11階層以下の攻略を行う。


第11階層から第14階層までの攻略。雑魚的とは決して言えない程の敵ではないが、質より量的な敵が多く、数多くの苦難を乗り越え、ステータスを向上させスキルを獲得してきたソルからすれば言う程の相手ではなかった。


そして第15階層へ挑む。


ソルは第15階層にたどり着く前に、このダンジョンにおけるある規則性に気づいた。


大体5の倍数。5とか10階層の敵が強力なボスモンスターである事が多いのである。


『5の倍数にボスモンスターが設置されている』という規則性をソルは発見したのである。


――という事はつまり。第15階層にはボスモンスターが出現すると思っていいという事だ。


第15階層に挑むより前にソルはステータスを確認する。

【名 前】 ソル・ユグドラシル



 【年 齢】 15歳



 【固有スキル】 レベル0




 ※レベル0で固定される。経験値取得が意味をなさない。




 【レベル】 0




 【HP】    1245




 【MP】     1100




 【攻撃力】    1250




 【防御力】   1210




 【俊敏性】    1150




 【魔力】     1180




 【魔力防御力】  1160




 【運気】    1050



 【スキル】 


技スキル


『回し斬り』『一刀両断』『魔法剣』


補助スキル


『ステータス変換』『鑑定』『錬成』『解析』『強化』


魔法スキル


『炎魔法(フレイム)』『氷結魔法(コールド)』『雷魔法(ライトニング)』『風魔法(エアロ)』『大地魔法(クエイク)』


 ソルは今まで獲得した全SPをステータスに変換していた。その為、ソルのステータスは飛躍的な上昇を遂げていた。


 満を持してソルは第15階層へと降りて行った。


 ◇


第15階層。そこは灼熱のマグマが吹き荒れる、終末的な階層であった。


「ぐわっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは!」


 マグマが吹き荒れ、一匹の巨人が姿を現す。


「よくぞここまで来た! この灼熱の王! イフリートのところまで!」


 全身に炎を滾らせた巨人が言い放ってくる。体が燃えているというよりは炎を従えているという印象であった。


「なんと……他の者の姿が見えぬが、まさか貴様一人で来たのか?」


 イフリートは驚いていた。基本的にダンジョン攻略というのはパーティー戦で行うものだ。だからソロで攻略しにくる者は珍しいのであろう。


 ソルとてこのダンジョンをソロ攻略したかったわけではない。親に捨てられ、否応なくソロでこのダンジョンに挑まざるを得なかったのだ。


「ぐっふっふ! 見上げた根性だ! 一人きりでこのイフリートに挑むとは! だがその根性はただ無謀と知れ!」


 灼熱の炎がさらに滾る。階層のマグマが噴き出た。


 来る。


 ソルは身構える。そしてソルは『解析』のスキルを使用した。


 モンスター名『イフリート』 HP2800


 炎の精霊王イフリート。灼熱の炎を操る、炎の化身。


 弱点。氷。


 やはり思ったようにイフリートは氷属性が弱点だ。わかりやすかった。


 エメラルドドラゴンのように弱点が変化したりはしないだろう。


 単純で明快であった。


「食らえっ! 氷結魔法(コールド)!」


 ソルは氷結魔法(コールド)を放った。魔力の高まったソルは凍てつくような氷の波動を放つ。


「効かんわ! フレイムウォール!」


 しかしイフリートは炎による壁を作り出し、氷結魔法(コールド)をかき消してしまったのである。


「なっ!?」


 ソルは驚いた。


「何を驚いている! いかに炎が水や氷に弱いとはいえ、威力の問題というのがある。貴様の脆弱な氷魔法(コールド)より、我の紅蓮の炎の方が勝っているという事だ」


 イフリートは雄弁に語った。


「食らうがいい! 我の炎魔法(フレイム)を!」


 イフリートは両手に炎を宿わせる。そして、放った。


「炎魔法(フレイム)!」


「ぐわああああああああああああああああああああああああああああああああ!

!」


 ソルは攻撃を食らった。火柱が立つ。


「ぐっふっふ! どうだ! 世の炎は一撃で火葬にされた事であろう」


 イフリートは笑っていた。


「はぁ……はぁ……はぁ」


 【HP】    1245 →350


 しかし、ソルは生き残っていた。大部分のHPを失ったが、それでも生き残っていたのである。


 HPと魔法防御力。どちらかでも欠けていたら生き残っていなかったかもしれない。


(ダメだ……イフリート相手にはただの氷結魔法(コールド)では通用しない)


 ソルはそう考えた。やはり『魔法剣』のスキルを使わなければイフリートは倒せない。


 そこでソルは作戦を考えた。あの炎の壁を使用した瞬間、相手に隙ができていた事をソルは見抜いたのである。


 ソルは懲りずに氷結魔法(コールド)を使用する。


「氷結魔法(コールド)!」


 吹雪がイフリートを襲う。


「たわけめっ! 貴様の魔法など効かぬと言っておるだろう! フレイムウォール!」


 イフリートは炎の壁を作り出す。


 そして、その瞬間、ソルは天高く飛んだ。技スキル『一刀両断』を使用したのである。


「なっ! なにっ! どこだ! どこに消えた!」


 イフリートは一瞬、ソルを見失う。すぐに頭上から迫ってきている事に気づいたが、時既に遅かった。瞬時にソルの剣が襲い掛かってきたのである。


「魔法剣!」


 ソルは『魔法剣』のスキルを発動させる。剣に氷結魔法(コールド)の魔法を宿らせる。凍てつくような冷気が剣にまとわる。


「氷結斬!」


 ソルはイフリートを斬り裂いた。


「ば、馬鹿な! 人間ごときが! それもたった一人でこの灼熱の王イフリートを倒しただと! ぐ、ぐわあああああああああああああああああああああああ!」


 イフリートは断末魔を上げて、果てた。


「ふうー……はぁー……なんとかなったか」


 ソルは深呼吸をした。


 ソルはイフリートを倒した事で『3000』という大量のSPを獲得したのである。


「これくらいあるんだからちょっとくらい使ってもいいだろう」


 ソルはSPを『100』使用し、『回復魔法(ヒーリング)』の魔法スキルを習得する。


 そして早速使用した。


「回復魔法(ヒーリング)」


 自身に回復魔法(ヒーリング)をかける。HPがみるみる回復していき、元通りになった。


 ソルはさらに奥深くまでこの裏ダンジョンを潜っていく。先は長い。だが、一歩、また一歩と進む度に少しずつではあるが確実にクリアに向けて近づいているのである。


 終わりは遠いようで、いずれは必ずやってくるものだ。


 ソルは引き続き第16階層以下の攻略へ挑むのであった。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る