第3話 武装探偵社 弐
「しっかし、六年前と殆ど変わらねェなァ此処。」
事務所も廊下も、物の配置すらほとんど変わってりゃしねえ。
そう思って言うと、乱歩さんはオレの方を一瞬だけ見てまた前を向いた。
「まあね。でもそれは君も同じでしょ。」
「ハハッ、確かに違えねェや。」
変わらねェのはオレも同じ、か。
そうだよなァ。
未だに1人で情報屋なんて禄でもねェ綱渡り続けてるんだもんなァ。
ま、誰に何言われてもコレは辞めるつもり無ェけど。
情報屋ほどスリルに溢れててオレに合ってる職なんてそうそう無ェからな。
「……助けが欲しかったら遠慮無く言いなよ。」
「んん?そん時ゃ勿論そうさせてもらうぜェ。」
乱歩さんの言葉に笑顔で返したら、彼は複雑そうな表情をした。
分かってんなら尋ねなくてもいいのに、本当にアンタは良い人だなァ。
六年も音沙汰無かったオレに対しても態度変わんねェし。
でもきッと、オレの方からアンタらに助けを求めることなんて無ェよ。
あの人らの為に這いずッてでも生きてやるつもりだから心配なんていらねェさ。
「着いたよ。」
彼に言われて横を見ると、オレは社長室に繋がるドアの前に立っていた。
あー、とうとう来ちまッた……。
「おう。……なァ、本当に入ッてもいいのか?」
「うん。」
軽いな、オイ⁉︎
こっちは緊張でどうにかなりそうだッてんのによ……。
腹ァ括るか。
オレは意を決して、ドアをノックした。
「福沢社長、ヒロです。御依頼の品をお持ち致しました。」
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