第六話 〜買い物〜

夏生なつきと別れた後、太陽そらはお風呂に入ったり、ゆっくり過ごしていた

そんな太陽そらに対して、不意に桜咲さんが


「そう言えば、太陽そら

実は明々後日しあさっての命日なんだが…

親戚の人が集まる事になってな」


と話を切り出した

その意外な発言に流石の太陽そらも驚きを隠せないでいた

それもそのはずである

今まで誰も寄り付かなかったのに、ここに来ててのひらを返すように〝命日〟に〝親戚〟が〝集まる〟と言い出したのだ

そんな唐突な発言に驚く太陽そら


「それで、明後日あさってから親戚の人たちが来るらしくて…

それの準備に明日、買い物に行く予定なんだが太陽そらも一緒に出かけないか?

最近宿題ばかりで家にずっといたし、気分転換も必要だと思うんだが…」


と桜咲さんは提案をする

それを聞いた太陽そらは驚きながらも


「そうですね…

親戚の人が来ると聞いて少し驚いてますが、考えてもアレですし…

それに言われてみれば確かに、最近はずっと家にいたので気分転換に出掛けるのは良いかも…

分かりました!じゃあ明日、一緒にお出かけですね!」


そう少し考えるように呟いて、桜咲さんに了承の返事を返した

それに対して桜咲さんは


「分かった、じゃあ明日九時から出かけるからよろしくね」


と言い終えると早めに寝る支度をして、部屋に戻るのだった

太陽そらも初めてふう達以外の友達と家で遊んだ為か、疲れていたのだろう

早々に部屋に戻って眠りに着くのだった




次の日の朝、少し早めにいつもの日課を終えた太陽そらは出かける準備を済ませる

起きてきた桜咲さんも朝食を済ませると準備を終えて、いよいよ出発の時間になった


「じゃあ車出してくるから少し待っててね」


そう告げる桜咲さんに太陽そら



「近くのスーパーじゃ無いんですか?

てっきり歩いて行くものかとばかり」


と少し驚いたような表情で聞き返す

それに対して桜咲さんは


「あぁ、少し遠いけどショッピングモールで色々見ようと思ってね」


と答える

それに太陽そら


「そうなんですね、分かりました

じゃあ待ってますね」


と言って桜咲さんが車を出してくるのを待って、家を出発するのだった




出発してから数十分の距離にある

田舎の様なこの辺では珍しい大手のショッピングモールは、かなり有名で〝服〟や〝食べ物〟の他に〝映画〟や〝カラオケ〟などの〝娯楽〟も充実している

地元の〝大学生〟がよく娯楽を求めて遊びに来る〝定番スポット〟の一つである


二人がショッピングモールに入ると、すでに人混みで溢れかえっていた

流石は地元の人以外にも、観光客や近くの街からも来るだけはある


「すごい人だかりだな」


そう呟きながら桜咲さんは、人を縫う様に進んでいく


「こんだけ人が多いと逸れそうだな

太陽そら、逸れないようにね」


あまりの人の多さに桜咲さんは、太陽そら へ向かって〝迷子〟にならない様に〝注意〟するため後ろを向いた

しかし振り返った〝そこ〟には太陽そらの影一つ見当たらなくなっていた


「・・・あれ?さっきまで居たよね…」


『まさか…』と頭をよぎる桜咲さんは辺りを見渡すが、やはり影も形もない〝完全に〟逸れてしまった様だ

仕方がないので探しに行こうとした時だった

〝仕事の時〟に〝よく〟見かける一人の少年が目の前の視界に映る

いつもなら気にしないのだが、少し困った様に見えたからか職業柄〝生活安全課〟としてつい声をかけてしまった


「こんな所で会うなんて奇遇だね!

やまとくんはここで何してるのかな?」


そう呼ばれた先にいた少年の正体は〝あの〟不良の親玉で有名な〝平塚ひらづかやまと〟であった

いきなり馴れ馴れしく話しかけられたやまとは、いつもの様に〝不機嫌そう〟な顔で〝殺意〟にも似た〝殺気〟を放ちながら桜咲さんを睨み返す

しかしすぐにその殺気を抑えると


「なんだ、海晴かいせいさんかすまねぇな〝殺気〟飛ばして、いつもの絡んでくる奴らかと思ってな

それに今は俺〝うみ〟と逸れて機嫌悪くてね」


とどうでも良さそうな態度を取りつつも、桜咲さんに謝罪をする

それに対して桜咲さんは


「もしかして〝うみ〟って妹さんの事かい?

それは心配だね…なら俺も今、連れと逸れた所だし一緒に探すの手伝うよ」


と優しそうな口調で告げる

それに対してやまと


「それなら、よろしくお願いします

ついでだし、俺も海晴かいせいさんの連れ探すの手伝いますよ」


と答えて二人で一緒に〝逸れた連れ〟を探す事になったのだった

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