第四話 〜約束〜
夏休みに入ってしばらくしたある朝
掃除を終えた
玄関を開けた先には、
そんな
「本当に申し訳なかった」
そう深く頭を下げて心の底から謝るのだ…
そしてそれが本心からの謝罪である事は、毎日来ていた
だからだろうか、
「もういいよ、もういい
そんなに謝ってもらわなくてもいいよ
君の気持ちは受け取ったから、、、
今でもまだ〝いじって来てたあの恐怖はある〟けど君が〝心の底から〟謝ってくれた事は伝わったから、だから…だからもういい…」
その時だった、
「本当に、本当にごめんなさい、本当に、本当に、ごめんなさい、ごんなさい、本当にごめんなさい」
と何度も何度も謝り続けたのだった
…それからしばらくして、やっと
その様子を見ていたのか桜咲さんが玄関を開けて出て来る
「二人ともいつまでそこにいるんだ?
取り敢えず中に入っておいでよ」
そう言いながら家に上がる様に声をかけると、桜咲さんはスタスタと中に入っていった
取り敢えずその後をついて二人とも中に入る
しかし家に入ったはいいものの、さっきの状況からのこの急展開である〝ここから何を話したらいいのか…〟二人の間には静寂が流れていた
そんな沈黙の中で桜咲さんは、冷蔵庫から麦茶を出しながら
「そういえば名前なんだっけ?」
と
それに一瞬ビクつきながら
「あ、
と何処かよそよそしく答えた
その光景を見れば二人の間で〝何かあった〟のは明白なのだが、特にそれについて
そんな
「
と囁いて来る
それからしばらくは沈黙が続いていた
時間にするとものの数分程度なのだが、
その時間の中で〝勇希〟を振り絞った
「「あのー」」
しかしその言葉は、同時に口を開いた
先に均衡を破ったのは
「あ、あのさ、
さっきはごめんね、あんな泣きながら…」
そう恥ずかしそうに、でもしっかりと答える
それに対して
「い、いやこちらこそ…
こっちこそ今まで無視しててごめん」
と頭を下げて謝った
それに対して
「いや、こちらこそごめん!
と俯きながら言い放つ
そんな姿を見てた桜咲さんが
「いやいや、二人ともいつまで謝ってんの?
さっきから〝謝っては謝り返して〟って
それイタチごっこになってるやん!」
とツッコミを入れる
それを聞いた
「・・・確かにそうだね
これじゃあ、いつまで経ってもイタチごっこだ」
と呟きながら何かを決めたのか
「なぁ、
これまでの事はもう水に流して
これからはお互い仲良くしないか?」
そう言いながら片手を差し出す
その意外な行動に
「本当にいいの…」
と言いながら泣きそうになるのを堪えて聞く
それに無言で
すると
「うん…水に流す
だから…これからは、仲良くしようね」
と涙目になりながら笑顔で握り返した
それを見て少し
そんな
「そういえば僕…
夏休みの宿題を終わらしてて暇なんです…
だから、えーと、あの、、、
謝罪を受け入れてくれて、これからも仲良くしようと言ってくれた事、すごく嬉しくて…
それで、だから…
今までは謝罪の為だったけど
せっかくだし、また明日も会いに来ていいかな?」
と少し照れた様子で問いかける
その発言があまりに突拍子だったからだろうか
流石の
「・・・うん、いいよ
僕も宿題終わって、明日の予定ないし!」
と明るい笑顔で答えた
それを見て
「そ、そう、それなら、また明日
お昼頃の集合でもいいかな?」
と嬉しそうに聞き返す
それに対して
「うん、それで大丈夫だよ!
じゃあまた明日、お昼からね」
と言いながら少しギクシャクしながらも、二人は遊ぶ約束をしてその日は解散したのだった
その日の夜、夕食を終えてゆっくりしていた
電話に出るといきなり明るい口調で話が始まる
「やっほ〜!
僕はねぇ・・・元気だったよ〜!クスクス
そうそう!今日電話したのはね〜
そんな感じにいきなり話が始まる
もちろん相手は
それに対してもう慣れた様子で、特に気にする事もなく
「こんばんは
ところで〝アレ〟ってなに?」
そう挨拶をしながら話の中にあった〝アレ〟について、何のことか分からず聞き返していた
それに対して
「ほら!僕らの通ってる高校主催の〜
特殊制度!親睦会&勉強会!の事だよ〜
ちなみに〜僕はね〜勉強は面倒だから〜
親睦会だけ参加予定なんだ〜ワクワク
それで
なんか美味しいお菓子とかね〜
い〜っぱい出るみたいだけど
一緒に行けたらいいな〜、って思ってたんだ!
それでその確認の〜電話したの〜」
とお菓子の事を考えながら、嬉しそうな表情で話しているのが目に浮かぶ口調で返答する
それを聞いて
「確か終業式に校長先生が言ってた一大行事〝第一学年 二泊三日!夏の親睦会〟…だったか?
そうだな…それって
と思い出しながら、ふと確認する様に問いかける
それに
「うん!一緒に行く予定だよ〜
だってね〜料理部や家庭科部?
あと茶道部の部活メンバーがね!
屋台開くらしいんだ〜
だから
と即答で答える
その返答に
「なるほど…わかった!それなら僕も行くよ!
と少し考えはしたがすぐに、
それを聞いた
「ほんと?やった〜!
じゃ
と、とても嬉しそうに答える
その後で何かを思い出したかの様に
「…あ!そうだった!それ以外でどっか〜
と楽しそうに答える
それに対して
「お泊まり会?」
と意味は分かるが〝なぜ?〟と言う疑問を投げかける
それを説明する様に
「そうだよ〜お泊まり会!
学校主催の〝親睦会〟は〝自由参加〟で〝学校宿泊も可〟って言ってたけど〜
〝参加〟はしても〝あのクラス〟と〝お泊まり〟はね、まだ
だから〝親睦会〟と別で〜
『〝お泊まり会〟開こう!』って
僕らは親睦会前は暇だからね〜
それに〜三人だけでも会って〜
遊びたかったしね〜」
と穏やかな口調で
その気遣いに対して
「なるほどね、了解!いいよその予定で
僕も〝親睦会〟前は暇だしね!」
と答えると
「やった〜!
じゃ、また時間とか決まったら伝えるね〜
じゃぁまたね〜!」
そう言い終えると
電話を終えた
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