第三話 〜ホームルーム〜
その一日はいつものような〝いじり〟は無かったが、クラス全員の顔からは〝悲壮〟で〝死刑〟を待つ囚人の様な〝重たく暗い陰〟が見える
そんなクラスの時間はあっという間に過ぎ、とうとうホームルームの時間となった
「それじゃあ、まず簡単に事情を聞こうか」
そう話を始める担任の先生は、クラス全員に対して〝失望〟の目を浮かべている
その目を見てみんな口を紡ぐ中、
「じゃあ僕が事情を話すよ
このクラスの裏の顔も含めて…」
と切り出し、これまであったクラスの〝いじり事件〟について語り始めた
途中、
「今は
反論なら後から聞くから話の腰を折るな」
と強く睨みながら言い放った為、その後は誰も
その後、
「はぁ、、、そうか、分かった
じゃあさっきの話で反論ある奴、答えてもらおうか」
と問いただすような口調でクラスに投げかける
それを聞いてやっと〝いじり連中〟の一部が口を開いた
「私たちは〝いじめ〟なんて一切してません
たしかにいき過ぎた事があったのも事実ですが…
それでも今日の朝それについて謝罪したんですよ」
「そうなんだよ、それなのに
「だから
と〝よくもまぁそんな事が言えるくらい〟呆れ返る程の言い訳を並べる
そこに余りにもこれと言った〝正当性〟が無いのが余計、見ていて呆れる程だ
担任の先生も何となくそんな彼らを見て、哀れみに似た目をしていた
そんな空気の中一人の生徒が手を挙げる
それは余り目立つ事をしない
手を挙げた
「先生、こんな話し合い意味あるの
もうこの辺でいいんじゃないかな
どうでもいい話に付き合う時間もったいないし
・・・そもそもさぁ、僕に関係ないし
関係ない事でわざわざ時間取られるのって、僕気に食わないんだけど」
と答える
その言葉を聞いた全員が、淡々とした
「お前がそれを言うか
俺らと同じで、いやそれ以上に
と一人のクラス男子が溢す
するとそれに便乗してクラス女子の一人も
「そーそー、どちらかと言うと私らより
私らなんて全員でそれ止めたくらいだし〜」
と自分を棚に上げて答え始める
それを聞いた
あれは〝罰あり鬼ごっこゲーム〟で
今思い返しただけでも〝恐怖〟が蘇る出来事である…
そして滅多に参加しない
それは確かに〝いじり〟の範疇を超え〝いじめ〟よりも醜悪なものだった…
つまりクラスの全員は自分の事を〝棚に上げて〟一番ひどいあの〝事実〟を責めているのだ
確かにその時〝いじり連中〟はそれを止めている
つまりは〝いじり連中〟にとって、言ってる事に嘘は一つも無いのである
それは彼らが助かる為に出した〝一人の
しかしその〝いじり連中〟の会話の間に
「ふざけるのもいい加減にしろよ、ボケどもが」
と低く冷たい透き通る声が教室中に響く
その声の方向にクラス全員が目を向けると〝いつもの子どものような笑顔〟でこちらを見ている〝
しかしクラス全員が目を向けた先に、いつもの〝子どもの様な
いつものような〝笑顔〟を浮かべながらも、あの低く冷たい透き通る声で
「
そのうち二十回は見て見ぬ振りで、二回は面倒くさそうに周りに合わせてやり過ごした分ね?
で、最後の一回が君らの言う、
と投げかけるように答えると、笑顔が消えて薄らと、瞑っていた目を開く
そこには〝みんなの知る
ただ〝恐怖〟それしか感じられない
そんな表情にクラスのみんなも、あの担任の先生ですら固まっている…
そんな表情のまま
「あれは最初君らが始めたやつで、やり方はともかく
それに比べて君らがしてきた
全て〝悪意〟ある暴行、暴言、一方的な〝支配〟だ!
それを棚に上げて
と言い終えるといつもの表情を浮かべて
「まー僕も、いつも見て見ぬするしか無かったその一人なんだけど〜
ずっと言ってきたよね
もしも〜
後は〜、そうそう
後はね〜
見て見ぬ振りする僕や他の連中も〝同罪〟じゃ無いかな〜なんてのも言ったよね〜
あとあと、君らがやってるのは〝犯罪〟で〝死刑〟にあたるほど怖いものなんだよ〜
て言ったりもした事あったよね〜」
といつもの子ども口調で話す
クラス全員の反応を見るに、どうやら一言一句、同じ口調と言葉で説教していたらしい
その言葉がさっきの〝いつもと違う
さっきまで散々、
親友である
いや、そもそも正確に
そんな
先生も
それはいつも温厚で優しい
〝大人しい人ほど怒ると怖い〟
とはよく言ったものだ
その日のホームルームの時間はその後、誰も言葉が出なくなり沈黙が続いた為、担任の先生が
「みんな、今日の事をしっかり考えて、明日の朝にもう一度話し合う時間を取る」
と言う事で解散になった
話が終わった後、数名が通り際に〝舌打ち〟をする
もちろん軽く謝って去る人もいたが、
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