第四話 〜二人の主張〜
家に帰ると桜咲さんが玄関で出迎えてくれた
いつもとは違って、出迎えのあるその光景に〝どこか懐かしい〟そんな感情が溢れる
その後、桜咲さんと楽しく会話をしながらご飯を終えると、その日は少し疲れたのかすぐに眠ってしまうのだった
次の朝、学校にいつものように登校すると、クラスの雰囲気が重いのを感じる
その中心にいたのは
「いい加減にしなよ〝いじり〟が良くない事を分かっていて、和解するのに〝あいつら〟が〝謝る事〟で〝全部水に流すよう〟僕に
そう怒鳴るような怖い表情と、口調で
その
「だから、これ以上お互いが喧嘩しても何も生まないから、妥協して和解する為に〝いじり連中〟が謝って
わざわざ、今までの悪事を公開してクラスを崩壊させる気かい、そっちの考えこそ理解に苦しむ」
と
その時丁度、朝のホームルームが始まるチャイムが鳴り響いた
「ちっ、この話はホームルームの時に先生を交えて話し合おう
ただし覚えておけ、お前は〝
ただお前は〝
と
それに対して
みんなが席に着くと担任の先生が来て
「一応みんな昨日の晩、頭を冷やしてこれまでの事考えてきたと思うが
多分さまざまな考えがみんなにはあるだろう
だから特別に一時間目の
だからじっくり話し合って、今後どうするか話し合おうか」
と淡々とした口調で告げる
こうして昨日あった〝話し合い〟の続きが始まるのだった
最初に話を切り出したのは担任の先生だった
「ではまず昨日頭を冷やして、いろいろな考えが出たと思うが、何か意見のあるやつはいるか?」
その問いに
二人の間には今朝の事があるせいか、目線を合わせて火花が飛び散っていた
それに対して担任の先生は
「二人とも何があったか分からんが少し落ち着け
とりあえず、
と仲裁と、
それを聞いて
「わかりました」
とだけ答えて意見を述べ始めた
「まず彼らは、自分のしていたことを〝いじり〟だと表現して、まともに反省している様子がありません
本来、これを学校に当てはめて言うなら〝いじめ〟として、校長先生等を含め親と生徒、先生方との〝正式〟な話し合いで解決すべきものです
つまり、出る所に出てきちんと罪を納得した上で、彼らには然るべき処置を言い渡すべきだと思います」
そこまで
しかしそこまで言われては〝いじり連中〟も黙ってはいられなかった
「なんだよそれ、なんで俺らがそんな面倒な事しないといけない訳」
「そーそー、そもそも、そんな事言うなら、見てた連中も全員同罪っしょ
他に参加してたやつらも一緒に処罰すべきじゃね?
そうすると、クラス全員退学になるけど〝ふうっち〟はそれでいいわけ」
と口々に反論し始める
それに対して
「そう言う態度が、反省してないって言ってんだよ…
〝ふうっち〟だぁ、そんなふざけた呼び名までつけてるけど、僕と君らにそこまでの仲良い関係はないんだけど?」
と冷たい目で睨みつけながら答えた
そんな言い争いになりかけている〝それ〟を見かねた担任の先生は
〝パンパン〟
と教室内に響く音を立てながら手を叩いた
「話が脱線して来てるから、ひとまず落ち着いて、今度は
そう言いながらさっき手を挙げていた
「あー、はい分かりました」
そう答えると今度は
「まず初めに彼らは謝っているので、もう許してもいいと思います
そもそも徹底的に追い詰める様な、解決をすべきでしょうか?
僕はそうは思いません
穏便に解決できるなら、本人達の心が大切だと思うし、心から謝っているなら許してもいいのではないでしょうか」
そう言い終えた
「そうそう、僕らも心から
と〝いじり連中〟の一人が言う
しかしその発言に
「そのチャラついたような口調の何処に反省の色があるって」
とすぐに
「そんな軽く心を込めて謝ってるって言われて、やられた方が納得するとでも思ってるの?」
そう言い切る
それを見ていた担任の先生が〝パンパン〟と手を叩きながら
「はいはい、
と止めに入る
それから少し考えて
「いろいろ意見があるのはわかった、取り敢えずみんなが考えて来てる事は伝わったよ
ただ少し熱くなりすぎてる様だし
ここは、まず当事者の
と
その瞬間、クラス全員の目線が
「僕は・・・」
しかし
『僕は・・・〝どうしたいのだろう〟』
それが頭をよぎり分からなくなったからだ
そしてそのまま少しの沈黙が流れるのだった
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