第七話 〜新たな運命〜
あれから少しして落ち着きを取り戻すと、
その間も青年はただ静かに
しかしそんな
「落ち着いた」
と優しい口調で問いかけて来る
どうやらかなり長い間泣き叫んでいたのだろう
少し心配だったようだ
今更だが冷静に振り返ってみると、人前で
それからしばらくして、ようやく落ち着きを取り戻すと、それを待っていたかのように青年が
「大丈夫、、、落ち着いたかい」
と心配そうに問いかけてくる
そう言われて再び恥ずかしい気持ちが込み上げてくる
ただあまり蒸し返して欲しく無い
だから
「うん、もう大丈夫だから気にしなくていいよ」
と笑顔で返して、それから一つ深呼吸をしてようやく、気持ちを落ち着かせた
そんな
「ねぇ、もう自殺はしないかい」
と少し心配そうな表情で問いかけてきた
今は〝不運〟を呪って生きている様なものだが、まず初めにそこから〝幸せ〟を探す事に視点をおくことにしたみたいだ
色々考えたが、あまり出てこないみたいだ…
ただ
それを考えると意外と周りには味方になってくれる人がいる事に
それからもう少し
それは幸せな事も確かに小さくても〝そこ〟にあったことに気づけたからだと思う
それが不運という暗闇に差し込む〝一筋の希望の光〟だと
だからだろうか
「そうだ人生はやり直せるんだ、今からでも遅くない、ここからやり直せばいいんだ」
それからすぐに立ち上がると青年の前に立ち
「僕はもう自殺はしないよ」
と優しく生きる力に溢れた元気な声で答えた
それはその瞬間の出来事だった
生きようと決めた瞬間に物凄い突風が山を吹き抜けたのだ
とっさに足で踏ん張ろうとしたが、突風が強すぎて気がつくと崖から足が浮いていた
次の瞬間、
「う、うわー」
と叫び慌てる
目の前には空と、崖から落ちたはずの背中に地面の感覚があった
「大丈夫?」
横から座ってそう聞く青年に、助けられた
「あ、ありがとう」
とさっきまで気にならなかった、異様な現象に驚きつつお礼を言った
青年はそれを聞くと右手を差し出す
すると
「自殺は辞めてくれたんだね」
と嬉しそうに青年が微笑み呟いた
「うん、もう自殺はしないよ」
と再び強く青年に言った
すると青年は
「そうか、そうか
なら今は〝不運な人生〟に苦しめられていた君じゃ無い
君はこれから〝新しい人生〟を歩むんだ
だから・・・」
そう呟きながら青年は優しく微笑むと
「君の新しい
と告げた
その一瞬だった
岩陰の隙間から青年に御光が差し、その光に
目を閉じて開いたその光景には、青年の姿はどこにも見えなくなっていたのだった
それから少しして
さっきまで行く時も帰る時もあった〝あの〟一本道が見えなくなっていたからだ
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます