第五話 〜幸せの定義〜
あれから少しして青年が
「そうだ僕、実はね、君の話を聞きながら思ったんだけど、、、
あー、えっと、今から言うことは〝独り言だと思ってくれて構わないから〟
他意はないから怒らないで欲しいんだけど…
君のことすごく幸せ者だと思ったんだ」
と真剣で柔らかい、そんな表情で告げた
しかし青年が最初に前置きしてたから、
ただ少し長くなりそうに感じて、太陽の当たる日差しから岩陰へ移動した
青年は
「さっきも言ったけど、本当に他意はないから
今から話すのは僕の独り言で、僕の考えだから
もし間違ってると思うなら、それも正しい答えのあり方だと僕は思う
それを踏まえて、これから僕の話す事は、数ある意見の一つとして聞いてほしいんだけど…
大丈夫かな?」
そう再び
「大丈夫だよ、最後まで聞いてみたいから」
とだけ答え
その姿を見て青年も穏やかな表情で話を始めた
「さっきも言ったように、君の人生について話を聞く中で、僕は〝君のことすごく幸せ〟だと思ったんだ
この言葉に裏も表もない、心からそう思ってる」
と青年が話し始めるがやはり、
しかし
青年はそんな
「そう僕が感じたのは君の話を聞きながら
一番好きな歌の歌詞を思い出したからなんだ
実はその歌の歌詞にはね
〝過去の傷が教えてくれた〟
と言うフレーズがあるんだけど
僕はこの歌詞を初めて聞いた時に〝幸福〟と〝不幸〟も、その歌詞と同じ〝何か〟なのでは無いかと、そう感じたんだ
例えばどこかに〝幸福だった人生を失い悲しむ人〟がいたとする
でもそれって〝失って初めてそれを、幸福だと気づき悲しんでいる人〟なのではないか
僕はそう読み取ることも出来ると、その歌詞を聞いた時は思ったんだ
それにね、もし失ったものが大切なものなら
そもそも絶対に失わないようにするだろ?」
と言い終えた青年は少し間をおきながら、真剣な眼差しで
「さっきも言った、その僕の考えで君の話を考えるとね
君の人生は不運だったけど、それは幸福を失ったのと同じであるとも言える・・・
だとしたらその幸福のありがたさに、目を向ければ気づけると思うんだ
君のような人はそれに気づく事が出来る
〝とても恵まれた不運の中にいる〟とね」
そんな感じに話しを再開した青年は、
だが
けどそれと同じくらいに、青年の言いたい事も何と無く感じ取れるから、何も言えずにいた
その横で青年は
「でもいきなり、こんなこと言われても理解できないし、不愉快だよね
それでも僕はその理屈から〝君が幸せだと〟思ったんだ
だからこそ伝えたかったんだ…
もし少しでもそれを理解出来たなら、きっと君も幸せが〝何か〟気づけると思うから」
そこまで青年は言い終えると〝言いたい事は言い終えた〟と言う表情でこちらを向いた
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