第五節 謎の青年
第一話 〜邂逅〜
いよいよ飛び降りる、まさにその瞬間
そんな
「死ぬなんて勿体ないよ」
と若い男の声が聞こえてきた
その声に振り返ると、まるで
「お前は誰?」
と特に興味のないような口調で問いかけた
その言葉を言いながら振り返った瞬間だった…
それはとても青く透き通った綺麗な空だった
そう
立っていた位置がすぐ崖だった事もあるだろう
それに対してただ冷静に口から
「あ、、、死ぬ」
と溢しながら重力に逆らう事なく、身を任せるように眼をつぶる
すると次の瞬間、さっき声をかけてきた青年だろうか
「ちょ、ちょっと待て!」
と叫びながら
「ゼェ、ハァ、ゼェ、ハァ」
引き上げた青年の呼吸だろうか、横ですごく息を上げているのが聞こえる
どうやら
目を向けた先にいたのは、今にも死にそうですと言わんばかりに、大げさに胸を押さえながら呼吸している青年がいる
「・・・」
青年のその姿に
この場合普通は〝ありがとう〟と言うべきなのだろう…
しかし
それは〝助けてください〟とお願いしてもいないし、死のうとしてやっと崖から落ちた所を助けられたからだ
しかも青年は当事者の
…挙句このザマである
〝ゼェハァゼェハァ〟と息を上げながら横で倒れて、、、いやうずくまっている
よほど体力がないらしい青年を横目に、
そんな
ゆっくりと体を起こしながら口を開く
「お、お前、バカなのか
会話始める瞬間に
いきなり落ちる奴がいるか」
そんな怒鳴り口調で説教じみた事を叫ぶ
「・・・そんな事言われる筋合い無いんだけど」
と冷静に
すると青年は呆れたように
「飛び落ちる時もそうだけど、お前なんでそんなに冷静なんだよ
こっちは肝が冷えたって言うのに」
と胸に手を当てながら、ため息まじりに答える
それを見ながら
それを見ていた青年は
「おぉ、もう起きられるのか!元気いいなぁ」
と笑顔を見せながら呟く
〝お前の方が元気だろ〟と心で突っ込みながらも、
それに対して青年は
「ん、どうしたんだい、また崖の目の前なんかに立って」
と問いかけてくる
もう構う気も出ない様で、無視して
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