第七話 〜オリジナル〜
そんな
「実はこの崖はね、オリジナルの噂となった崖とそれ以外の自殺名所を一括りにした噂らしいんだよ
そのオリジナルとなった崖にある噂が本来は、この都市伝説になっていたらしいんだけど、いつしか必ず死ねる自殺の名所としてのイメージが強くなって噂が変わったらしいんだ」
と話し始める
そして一息つくとそのオリジナルの噂を話すため、口調を変えて雰囲気を作りながら続きを話し始めた
「その最初の崖にあった噂っていうのが…
『その昔そこから若い者が多く飛び降り死んだ
その多くは死ぬような人ではなかったが、なぜかそこに近づいた者は崖から飛び降りた
それ以来その崖は行けば殺される〝人殺しの崖〟と言われるようになった』という話らしいんだよ」
とオリジナルの噂を話し終える
それを聞いていた
するとそんな納得する横から
「そしてここからが重要なんだけどね
この崖と言うのが若い者しか辿り着けないと言われていて、青年を過ぎ大人になると崖の山上には行けなくなるらしいんだ」
と答える
それを聞いて
その噂が事実なら〝若者だけを殺す〟いや〝若者だけを食う崖〟とも読み取れる
それは〝若者が死ぬ為に存在する崖〟といってもいいだろう
つまりもしも間違えて若者が迷い込んだら、その人は必ず死ねる崖から落ちてしまうのだから、それは確かに都市伝説だ
しかしなら尚更どうして噂が変わったのだろうか?
「確かにその噂なら都市伝説になるな…
でもそれならどうして今の都市伝説の噂は〝必ず死ねる山上の崖〟になってるんだ」
と聞くと
「それなら簡単だよ
その崖にいった若者は必ず死んでしまうなら噂を広げる人がいないだろ
だから、自殺の名所を集めて〝必ず死ねる山上の崖〟にした方が都市伝説として浸透しやすかったからだよ」
と答える
それを聞いて確かにそう言われると、そう感じるが、それでもそうすると噂自体が違うものになると思った
そんな
「それにこの噂は確かに噂自体が少し変わっているけど、誰のイタズラかオリジナルの噂にたどり着けるように、名残が名前にも残ってるらしいんだよ
だからそれがわかる人はオリジナルの噂に気づく人もいるらしいんだよ」
と言う
「名前に
と問いかける
すると
「えーと
〝必ず死ねる山上の崖〟の山上って山の上って書くよね
実はこれ山の上じゃなくて悲惨の方の惨状で〝必ず死ねる惨状の崖〟と言うニアンスになるんだよ!
簡単に言うと〝必ず死ねる〟けど〝惨状〟も起こると言う意味が不明な噂になる
でもこれはオリジナルの〝人殺しの崖〟が、死ぬ必要の無い人も殺す〝惨劇を呼ぶ崖〟の名残としたらなんとなく納得もいくよねー」
と答える
確かにそう言われると〝人が必ず死ねる〟と言われた〝惨状の崖〟は〝本来死なない人〟も殺すからと意味づけするとしっくりときた
…この噂なに、怖、七つの都市伝説の中で一番タチ悪くて怖過ぎだろ
そう思った
「なにそれ、怖、この噂のオリジナルとか、意味聞くと、これだけ怖すぎるだろ
面白半分で都市伝説周りする人がもし、そのオリジナルの崖に行ったら死ぬってことだろ
いやいや怖すぎるわ、この噂」
と言葉に出して答える
それを聞いて
「実はその噂のオリジナルが存在する崖がこの近くにある
とイタズラ混じりの笑顔で答える
色々と噂の絶えない所らしく、子どもを叱る時にもよく使われる山の名前である
その山の噂がどれも信憑性の無いものばかりだから、この地域に住んでる子どもだってその山がただ〝危ない山〟ってことを知ってる
そんな山の名前が出てきた所で…
とその思考を遮るように
「え、そんな嘘だ、そんなおっかない崖が
と強く
そのいきなりの発言に
「え、いやまさか、
と問いかける
それに反射的に
「当たり前だろ、この街に住んでたら誰でも知ってる、あのおっかない山を知らないわけないだろ」
と真面目に答える
そう言えば
と思ってたら横から肩を叩かれる
振り向くと叩いてきたのは
「面白いだろ
実はさ
なんでも物心つく前からずっと聞かされて信じ込んでしまったらしくて、それ以来こう言った話とかあんまり得意じゃないんだって」
と笑いながら言う
なるほど
どうやら
まだ怯えてる
「おい
と
「な〜に〜」
と答える
「せいや」
と言いながらチョップする
チョップされて痛がる
「あまり
と言うと
「僕の頭はいいのかよ」
と真面目な感じに答える
それにさっきまで怯えてた
「あははは、ざまー」
と馬鹿にするように笑う
「せいや」
「いってー、なにすんだよ」
と答える
「ほら
と答えるとビクつきながら
「お前最近、桜咲のおじさんに似てきて怖いな」
と答える
それに明るい笑顔で
「そんなことないよー」
と答える
その言葉をいって少し沈黙が辺りを包み込む
その沈黙を最初に破ったのは
いきなり笑い出しながら
「なにそれ
あーおかしー」
それにつられるように
しばらく笑いながら歩いているといつもの分かれ道に着いた
「今日は笑ったねー」
と笑い涙をぬぐいながら
それに同調するように
「そうだな」
と
「まーいつものことだろ」
と答えた
そのあとはいつも通り二人と別れた
ただ
六番目の
その噂のオリジナルの崖が
そのことだけが…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます