第3話
いくら時間が経ったのだろう。気付けば朝日が昇っていた。
まだ、この子の名前すら知らない。
そんな僕の見知らぬ人に個人情報を握られて焦ってる僕をよそに疲れたのか少女はリビングのソファで熟睡している。
寝顔を見てるとこうしてたら子供なんだなって被せた布団を被せなおしながら思う。
携帯に会社から着信
やがて、着信音が止みメールが入る。
:おはようございます。折り返し下さい。よろしくお願いします。佐藤
「はぁ」ため息を無意識に吐く
「ふぁ〜 おはよう〜」
「お、おはよう」
着信音で目覚めたのだろう
少女は寝ぼけ眼でそのままトイレに向かった。
文面を確認とグッと胸が苦しくなる激しい動悸が僕を襲いそのまま
床に膝を付いて胸を押さえた。過呼吸だ。
「はぁ、、、はぁ、ダメだ死ぬ、、、」
「ちょっと奏!」
少女が慌てて僕の方へ駆け寄る。
「大丈夫?」
「全然、死ぬかも」
紙袋、、、テレビで見た知識が頭を掠った。
「・・・ごめん、悪いけど、はあ、台所から紙袋取って来てくれないか」
「うん、ちょっと待ってて直ぐに取って来るから!」
少女は台所から紙袋を持って僕に渡し僕は直ぐにそれを口に当てて
呼吸をする。
「・・・・・・・・はぁ、はぁ、、、ありがとう大分落ち着いたよ」
「はぁ、よかったー」
少女は安堵していた。
「水持って来るね」
「ありがとう」
僕がこんな事になった訳はきっと仕事だ。
僕の会社はいわゆるブラック会社で早朝出勤しては深夜に帰り睡眠時間はほんの数時間、それに上司の理不尽な叱責。
心身共に疲れ・・・吐き気と胃痛・・・
もう、限界だった。
僕は少女が持って来た水を飲みソファで横になり右腕で目を覆い隠し
心泣き出すそれは直ぐに涙腺まで伝わり気付けば腕の中で涙を流していた。
ソファが僕の頭の上で少し沈む
そして、少女は何も言わずに僕の頭を撫でそれはまるで母親のように優しく温かく幼い頃に感じた懐かしい感覚が少女から伝わってそれがゆっくり体を包み込んでいった。
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