第2話

部屋に着くと服を脱ぎ

洗面台の鏡で自分の顔見た

「こんな顔してたっけ」

疲れとさっきの恐怖のせいか

年が十以上老けたような

顔を摩り確かめた。

けど、明日の職場で何て言い訳しようかとか早く寝ないとなとか考えて

冷静になっている自分が不気味だった

「あーさっぱりしたー」と癖で独り言を言った

「さっぱりした?」

「気持ちよかったよ、さっきはバカな事して傷だらけだけど」ってあれ?

少女がテレビを見ていた・・・

おいおい、勝手に何上がってんだ。

「君、何処から入ってきたんだ?」

僕の目に入ってきた少女の姿は痩せていて

食事もろくに摂ってない感じだった

少女は、さっきまでの微笑は消え

まるで、街中で友達としゃべる時のような屈託のない微笑みで

僕に、言った。

「おにいさんの後つけて、部屋に入ってからこそっと入った!」

「入った!じゃないよ、、、帰らないと親御さん困るだろう?」

「嫌だ、帰りたくないし、親なんていないし」

その、言葉を言った瞬間俯いて声を震わせた。

何故、僕が気を使わないといけないのかさっぱり分からなかった。

けど、少女から漂う空気感がどこか僕に似てる気がした。

僕と同じか・・・

これ以上は、話しても無駄な気がしたし食事をとってない子をこのまま放って置くほど

僕は、人でなしじゃない

「腹減ってない?遅いけど晩飯食べる?」

「うん!」

少女は、また屈託のない笑みで答えた


冷蔵庫の余り物で作った野菜炒めと、昨日作りすぎた唐揚げをチンして緑茶を

少女に出した。

「いただきます!」

よほど空腹だったんだろう早食い選手権に出たら良い勝負が出来るんじゃないかと思わせるくらいに

あっとゆう間に平らげた。

「ごちそうさまでした!」

食事中に聞き出そうとこちらの思惑は簡単に崩れ去った。

「君は何者?」

少女は、考えるように天井を見上げてから僕の方を見て考え答えを出した。

「幽霊かなぁ人間かなぁ」

「そうなんだ」

自分から聞いていてなんだが急に面倒になって

適当に答えた。

まあ、外にいた感じだと幽霊の可能性も捨てれないし

バカだ。どう考えても生きた人間にしか見えない。

・・・相当疲れてるな。当たり前か傷だらけだし。


少女は、笑って席を立ち

使った食器を洗い出し綺麗に片付けテーブルを拭く

余りに手慣れていて日頃からしている様子だった。

それを終えると部屋を物色し始める。

「へーこんな本読むんだ~」

いつかのテレビ番組で宣伝していたSF小説だった。

何となくで買ったものの小説を読んだことはなかったから

その小説は本棚の隅でホコリがかぶっていた。

「別に読んでないからあげるよ」

「ありがと!」

遠慮ないよなまったく

少女は、一通り物色したのち

テーブルの椅子に座った。

「で、君の名前を教えてもらおうか?」

また、考え始めた。

名前って考えるものなのかっと疑問に思っていると

「・・・・・・嫌だ・・・・教えたくない・・・嫌いな両親の付けた名前なんて・・・」

相当、嫌ってるんだな

顔を伏せた

ずっとこのままじゃ居れないどうしょうか

困っていると少女が僕に視線を僕にやり言った。

「逆におにいさんの名前は?」

「名前も知らない君に教えるなんて可笑しいだろ?」

「でも~この状況自体可笑しいでしょ?」

このままだと、話しが進展しない

「それじゃ、僕の名前と歳を教えるから君も教えて」

何か必至に女子高校生をナンパしてる情けないダメ男みたいだ・・・

「じゃ、教えて!」

少女は、テーブルに両肘を付いて頬杖をついて笑顔で答えを待っている。

うれしそうだなクソ

「立川 奏、、、27歳、、、言ったぞ、君も教えてくれ」

どうだ!

「嫌だ!」

「何で?」

「ウソついてるもん」

えっ

僕が何も言えずにいると

「何でって、、、給料明細に載ってる名前と違うもん!」

テーブルに置いてあった給料明細書を指で摘まんでプラプラさせて僕に見えてきた。

「でも、おにいさん偽名は偽名でも歳はウソついてないでしょきっと」

確かに歳はウソはついてない、だが不覚だった給料明細書をテーブルに置いたままだった。

「まぁいいや、これからおにいさんの事 奏って呼ぶから!」

これからだと?もしかして、ここに居座るつもりか?

ウソつた反面強く言えないでいた。

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