最終章16話『面白少年!! 豊友洒水』
僕の事を疑ってすらいないレンディア。そんな彼に僕は必死に笑みを浮かべて、
「も、もちろんさ」
と答えた。
真っすぐに僕に向けて眩しい笑顔を向けてくるレンディア。やめて! そんな眩しい笑顔でこっちを見ないで!!
当然そんなレンディアの顔を直視できるわけもなく、明後日の方向を向いて答える僕。
そんな僕の心情を知ってか知らずか、レンディアはカヤに向かって親指をグッと突き出す。そして、
「な?」
「な? ではなぁい! さっきからなぜお主はそんなに主様を信頼しているのだ!? あの主様の態度をよく見ろ! 絶対にそんな事考えておらぬぞ!? あれは童やレンディアの事をすっかり忘れておったという顔だぞ!?」
……な、なかなか鋭いじゃないか。
「カヤちゃんは分かってねぇなぁ。あれは照れてるだけだよ。あいつの事は俺が誰よりも分かってるから間違いねえ。なんせ親友だからな。へへ」
し、信頼が痛い……。なんでこんなに信頼されてるの? 正直重すぎて胃が痛い……。
「レンディアさん! それにカヤさん! なぜあなた達までそちら側なんですか!? あなた達は私と同じ立場でしょう? 私と同じでこの邪神に酷い目に遭わされ続けてきた被害者でしょう? それなのになぜその邪神を救おうという兄さまに
ウェンディスがヒステリックな叫び声をあげる。彼女らしくもない。冷静さなんてかなぐり捨てた心の底からの悲鳴だ。
「ウェンディスちゃんよぉ。実は俺ぁあんまり事態が呑み込めてねぇんだよ。さっきカヤちゃんから何度か説明してもらってなんとなーーーーーく分かったくらいだ。だから俺が言うのもなんなんだけどよぉ……まぁ、気にすんな」
いや、さすがにそれはどうだろう? もう少し色々考えたほうが良いんじゃない?
「まぁ童はレンディアほど割り切れんがな……。童だってそこのクソ神は憎い。そやつが何度も何度も童を絶望のどん底に叩き落してきた神なのだろう? 憎くないはずがあるまい。だが先ほどの主様の
「そう簡単に割り切れるわけないじゃないですかぁっ!!!」
振るわれるウェンディスの右腕。そこから放たれる紫電の一撃が広河さん目掛け走る。
「おっと」
突然の事だったが右こぶしを振り上げてガード成功。ほんの少しだけビリビリするなぁ。
「「え?」」
「へ?」
なぜか信じられないものを見るような顔でウェンディス&カヤに見つめられる。あれ? なんか僕変なことした?
「さっすが洒水だな。俺には今ピカっと何かが光ったかのようにしか見えなかったぜ。それを片手間で見切ってしかも真正面から受け止めるたぁ恐れいるぜ」
「いや、こんな事ならレンディアも多分出来るでしょ? っていうかあの村のインチキ住人達なら結構簡単に防げるんじゃない?」
なんで今更この程度で感心されるんだろう?
「いやいや主様よ。正直今の動きは神がかっておったぞ? 以前見た主様とはまるで別物だ。まるで童に敵対してきた勇者たちのような成長速度ではないか」
「そげな馬鹿な」
いくらなんでもそんな短時間で強くなれるわけが
★ ★ ★
クラス:◆■▲??〇▲?■Ω■
筋力:606
すばやさ:8993
体力;10789
かしこさ:0
運の良さ:-∞
魔力:0
防御:15878
魔防:8867
技能:鑑定LV▲限突破?▲◆・言語理解・殺◆不可Λ
裏ΩΠ:バグ▲染・?〇▲?▲
★ ★ ★
……………………なぁにこれぇ?
どう見てもおかしい。ステータスの数値自体もおかしいが、そもそも色々と文字化けしている箇所がいくつもある。これ、完全にバグってるよね?
「筋力は少し上がった程度。すばやさはなんか桁がもうおかしい。かしこさと魔力がなぜか0になってて防御関係がやっぱり桁がおかしいなぁ」
以前は全てのステータスが大体三桁くらいで割と平均的だったはずだ。それなのになんなんだろうこの偏りに偏りまくったステータスは? いや、それは百歩譲って良しとしよう。問題はこれだ。
「運の良さ:-∞って……なんだこれぇぇぇぇ!? おちょくるのもいい加減にしろぉぉぉぉぉぉ!」
あれかな!? これは死ぬほど不運だってことかな!? ふっざけるなぁ!! なんで毎回毎回運だけ酷い事になってるんだよぉ!
「落ち着いてユーシャ! ユーシャがおちょくられるなんていつもの事じゃない! ユーシャが気づいてないだけでクラスのみんなだけじゃなくご近所の皆さんもユーシャの事を生暖かい目で見守ってくれていたんだから!」
「そんなの知って……え!? そうなの!? クラスに何人か僕の事を馬鹿にしてる感じの人が居たけどそれだけじゃなくご近所さんにもそんな風に見られてたの!?」
異世界に来てからそんなことを教えてもらっても嬉しくないよ!? 正直知りたくもなかったよ! 僕にとどめを刺す気かぁ!?
「違うよユーシャ! ユーシャは誤解してるの。そんなのじゃないの」
「ああ、良かった。さすがにそんな事はないよね。仮に町内中から生暖かい目で見られてるなんて事があったら僕はもう……」
外が怖くて気軽に外出すら出来ないじゃないか。
クラスの見知った数人に馬鹿にされるくらいならスルー出来るけど、それが町内まで及んでしまった場合……考えたくもない。
「よく思い出して? さっき私が言ったのはユーシャをおちょくってる人がどれだけ居るかでしょ? ユーシャを生暖かい目で見ている人がどれだけ居るか聞かれると……ごめんなさい。ちょっと分からない。えっと……確かユーシャの動画も数えきれないくらい出回ってたし……『面白少年!! 豊友洒水』のスレも確か最後に私が見た時には既にpart176まで埋まってたし……詳しくは分からないけど日本に住んでいる人の半分くらいの人がユーシャの事を知ってるんじゃないかな?」
「……もう
え!? なにそれ!? いつの間に僕はそんな有名人になってたの!? しかも全然嬉しくない! むしろ死にたいほど恥ずかしい!
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