第4章21話『クイズ-5』




「――――――正解で――――――す!! 見事最終問題正解です! おめでとうございまぁぁぁぁぁぁす!!」



「――よっしゃあ!!」



 思わずその場でガッツポーズ。もうダメだと何度も思った末でのクリアー。色々と問題や答え、そして司会者にも文句はあったが終わりよければすべてよし。


 何はともあれこれで――勇者にピッタリなアイテムである聖剣を手に入れることができるんだ!



「えー、それではチャレンジャーの最終点を表示いたします! こちらです!!」



 司会者がそう言うと同時に空中に変動し続ける五桁の数字が表れる。これが僕の点数を示すっていう事か。

 変動し続ける数字は右から順に止まっていく。そして現れた数字は――





 -9120点




「…………へ?」



 おかしい。表示された点数があらゆる意味でおかしい。なんで四桁もあるの? いや、初めに用意されてた数字が五桁の時点で疑問を持つべきだったのかもしれないけどさ。確かこのクイズって百点が満点じゃなかったっけ? なのに表示されたのは四桁? それに気のせいかな? 頭にマイナスの記号が見えるんだけど気のせいだよね? それか機械の不具合で表示がおかしくなってるだけだよね?



「おーーーーーっと、これはひどい! チャレンジャー、なんとマイナス9120点です! 適当に答えていてもこんな点数はまず取れません! ある意味奇跡です!」



 ……どうやら僕の見間違いでは無いようだ。だって今はっきりマイナスって聞こえたもの。


「いやいやおかしいでしょ!? どんな計算したらそうなるの!? 司会者さーーーーん! あんた確かクイズは百点が満点だって言ったよねぇ!?」


 確かに聞いたぞぼくはぁっ。

 しかし司会者さんはきょとんとした顔をして(相も変わらず黒い影なのでそんな顔をしているような気がしただけなのだが)こちらに向き直って口を開く。




「えぇ。確かに私はクイズは百点満点だと言いましたが……まぁ見た方が早いでしょう。それではっ! チャレンジャーの点数詳細を見てみましょう。こちらです!!」


 そうして僕の点数に並ぶように現れた数字や文字たち。そこにはこう書かれてあった。



問題正解         2点+80点=82点

早押し正解        23点

人として失格→      -10000点

ツッコミ→        875点

お年寄りに優しくない→  -100点




「……(ポカーーン)」



 口をあんぐりと開けてバカみたいに書かれている物を眺める僕。書いてある意味が分からない。いや、分かりたくなくてもはや現実もちゃんと見れなくなりそうだ。


「最後の問題が致命的でしたねぇ。あれで正解したはいいのですがさすがに妹のスリーサイズを把握している兄というのは……残念ながら人として失格と言わざるを得ません。あぁ、しかしツッコミは見事でした! おそらくわたしが見てきた中でベストなツッコミでした! これからの精進を陰ながら期待しております」



 なるほど。うん、なるほど。うん。

 ――よし、殴ろう。司会者さんが泣いて謝るまで殴ろう。気が済むまでとことん殴ろう。

 僕はそう決めて司会者さんの元へと殴りこもうと足に力をこめる。しかし、あれ? うまくいかない?



「あれ?」



 足に力が入らないという訳では無い。足に力を入れようとしたのにからぶったような感覚だ。慌てて僕が足元を見てみると……そこにはつい先ほど見たような人一人がすっぽり入るような黒い穴が開いていた。


「それではこれにてクイズ【チキチキ! レーヴァテインを手に入れるのは君だ】は終了となります。それではさようなら~~」



「チクショウ! 一発殴らせろぉぉぉぉぉぉぉ!!!」



 そんな叫びも虚しく、僕の体は黒い穴へと落ちていく。心に不安はない。どこへ落ちていくのかという不安よりも僕の心にあるのは固い決意だ。即ち


 殴る! 今度会ったらあの黒い影が鮮血で真っ赤に染まるまでひたすら殴る!


 そんな決意を胸に、僕は黒い穴へと落ちていった――


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