第4章18話『クイズ-2』
……またもやツッコミどころ満載の問題だけどもはや何も言うまい。答えは考えるまでもない。時速三千キロで走っているというのならば一時間後に魔王城に着いているに決まってるじゃないか。
ピンポーン!
「おぉっと早い! 早く答えれば答えるだけボーナスポイントが出ます! これで最初の不正解のダメージを減らせるでしょうかぁ!?」
え!? そんなルールあったの!? 回答者にもっときちんとルールを伝えるべきじゃないかな!?
まぁ今回は早くボタンを押しているからボーナスポイントゲットか。まぁ良かったと思おう。そもそもこのクイズで正解し続ける意味があるのか分からないけど。
「答えはBの『一時間』だ!」
「残念!」
……おや? またしても不正解? おかしいな。
「正解はDの『辿り着けない』でしたぁ! 人間の体は時速三千キロに耐えられるようにはできておりません! そんな速度で走り続けたら目的地にたどり着くまでに死んでしまいますからねぇ」
ハァァァァァァァァァァァァァァァ!?
なにそれ!? ひっかけ!? そんな事まで考えて答えないといけなかったの!? どこがサービス問題!? さっきからただのひっかけ問題じゃねーか!
「これはチャレンジャー痛恨のミス! 遅れを取り戻そうとして焦ってしまったのかぁ!? どんどんレーヴァテインまでの道が遠のいていきます! 果たしてチャレンジャーは八十点以上を取ってレーヴァテインを入手できるのかぁ!?」
……なぬ? え? このクイズに正解し続けないとレーヴァテイン貰えないの? え? つまりこれが試練? これを乗り越えないとレーヴァテイン手に入らないの?
「どこが修行回!?」
ただ訳の分からないクイズに付き合わされてるだけじゃないか!
「おおっとチャレンジャーご乱心です! しかし問題は待ってはくれません! 第三問!」
いや、待ってくれないのは問題じゃなくて司会のあなただよね?
「第三問! 目の前でヒロインが敵にさらわれてしまいました。そして数日後ヒロインがパーティーに戻ってきました。自力で抜け出してきたのだと彼女は言います。さて、この場で勇者であるあなたはどうしますか!?」
A.ヒロインを斬る。
B.ヒロインを叱る。
C.ヒロインを犯す。
D.赤飯を炊く。
……ついにまともな答えがひとつも無くなってしまった……。どれが正解かなんて分かる訳もない。どれも勇者としてふさわしくないじゃないか。
ピンポーン!
「おおっと、またしても早い! さぁ、チャレンジャー! 答えをどうぞ」
「……Cで」
もはやヤケクソである。どうせ四分の一だ。運が良ければ当たるだろう。
「正解です!!」
本当に当たっちゃったよ……自分で選んでおいてなんだがCってなんだっけ? 全部の選択肢を聞いてまともなのが無いと分かった瞬間適当に答えてしまったのだが。
「正解はCの『ヒロインを犯す』です! 敵に洗脳されているかもしれませんから勇者のエクスカリバーにて正しい道に戻してあげる事は大切ですねぇ。それにヒロインが居ない間、勇者も溜まっているでしょうから暴走を抑止するためにもCが正解です! チャレンジャー! 見事正解を引き当てましたぁ! ボーナスポイントも入り一気に持ち直したかぁ!?」
この司会者は一体勇者の事を何だと思っているのだろう? この司会者の勇者像ってクズ野郎なのかな? 敵にさらわれたヒロインに更なる責め苦を与えるなんて勇者どころか人間として失格だと僕は思うんだ。
「さぁて、残る問題は二問となりました! 続いていきます! 第四問!」
どうやら問題は全部で五問らしい。え? 既に二問不正解なんだからもう八十点以上無理じゃない?
「第四問! 今は何問目でしょうか? おぉっと、これは難しいかぁ!?」
さっきからこの司会者は馬鹿にしているのだろうか? 今四問目っていったばかりじゃないか。
A.二百十三問目
B.三十九問目
C.二問目
D.四問目
こんなのDの四問目に決まってるじゃないか。僕は回答するためにボタンへと手を伸ばし……待てよ。
今までまともな問題があっただろうか? いや、一つもなかった。つまり、この問題もまともではなく、何かしらのひっかけ問題なのだろう。
例えばこの司会者が今までの人生で問題を出すのは何問目か? という意味ならC以外のすべてが答えの可能性がある。
もしくは後ろから数えて今が何問目か? という意味なら答えはCだ。だからこそ司会者はここで残りの問題数を言ったのかもしれない。
そう考えると全てが答えの可能性がある。しかもどれが正解か見分ける術なんて僕には無い。さて、どれを選ぶべきか……。また適当に選ぶべきなんだろうか?
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