第4話『妹ってこんなのだっけ!?』
「お疲れ様です。兄さま」
そこには……銀! 髪! ロリ!! の美少女が!!
腰まで届く銀髪に輝く髪をなびかせ、かわいらしい笑顔で僕に微笑みかける美少女の姿があった!
着ている服はなんというか……エロい。
ぶかぶかの男物の作業着を着ているだけなんだけど……その……サイズがあっていないせいで色々見えてしまいそうだ。
その平坦な胸とかちょっと覗こうとすれば見えてしまいそうなくらい。
それに、その姿が神秘的な彼女の雰囲気とすごくミスマッチで……でも、それがいいとも思えてしまう。
「?? どうしたんです? 兄さま?」
おっと……不審に思われてる……。なんとごまかしたものか……。
「魔物と戦った後で変に興奮してるんだとよ」
僕が何か言い訳をする前に、レンディアが答えてくれる。そんな言い訳で大丈夫かなぁ?
「興奮してる!? 兄さま!? 興奮してらっしゃるのですか!?」
「え? う、うん」
なぜそこに食いつく? と思いながらも自分で蒔(ま》いた種なのだし、肯定しておく。
ついでにウェンディスちゃんの姿をジッと見つめ、そのステータスにも目を通しておく。
★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★
ジークリット・ウェンディス 13歳 女 レベル:?
クラス:村人
筋力:5
すばやさ:9
体力;18
かしこさ:1679
運の良さ:88
魔力:2879
防御:3
魔防:1978
技能:全魔法適正・魔力操作EX・兄への劣情
★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★
「なんじゃこりゃああああああああああああああああ!!!」
「きゃっどうしたんですか? 兄さま」
どうしたもこうしたもない……なんてことだ……チーターだ!!
確かにその華奢な見た目の通り、体力も筋力もない。そこだけ見ればか弱い村娘だろう。
しかし、かしこさと魔法に関するステータスがおかしい!!!
僕のステータスで一番高いのがすばやさ:681だ。
レンディアのステータスでも、一番高いのは3桁だった。
それなのにこのウェンディスって子は……魔法に関する物が全部4桁越えだとぉ!!??
その上に技能も魔法に関する物が入ってるしさぁ!!
もう完全に魔導士じゃんこの子!! 絶対に村娘とかじゃないよ!!! 歴戦の魔導士とか言われても僕は納得するよ!?
そしてそれとは別になに……この……”兄への劣情”っていうスキル……。
「そんなの私(わたし》の事を見つめて……ハッ! やはり興奮してらっしゃるのですね兄さま! 分かりました! このウェンディス! 一肌脱ぎましょう!!」
そう言ってウェンディスちゃんは……ぶかぶかの作業着を目にもとまらぬ速さで脱いでしまった!?
「ええええええええええ!!?? なんでぇぇぇぇぇぇぇ!!??」
突然の出来事に付いていけないよ!!??
「では……いただきます!!」
そう言ってウェンディスちゃんは僕へととび掛かってくる。それは、見事なルパンダイブだった。
「おっと」
「きゃん!」
ついつい避けてしまった……。
「さすが兄さま……。まだまだこの私を焦らす気ですね……。うぇへへ、兄さまったら変態なんですからぁ~」
「君に言われたくない!!!」
変態に変態っていわれた……なんという屈辱!!
そして絶対これだね! ”兄への劣情”っていう技能。
なんでこんな技能あるんだよ! こんなの僕が思っていた妹とは違う!!
「??」
ウェンディアが一瞬、不思議そうな顔をこちらに向けてくる。
「なるほど……そういう事ですか……」
「え? なに?」
よく聞き取れなかった。
「いえ、なんでもありません。それで兄さま。私を呼ぶ声が聞こえたので来てみたのですが何用でしょうか?」
そう言いながら目にもとまらぬ速さで脱ぎ捨てた服を着ているウェンディスちゃん。
「速っ!!?? 着替えるの早すぎない!!?? すばやさ:9とは思えないんだけど!?」
僕が知覚すらできないとかこの子どんだけ服を着るの早いの!? さっきも服を脱ぐ瞬間が見えなかったしさあ!!
「ハッ!!?? 申し訳ありません兄さま!!」
「え? 何が?」
「私に裸体を晒(さら》し続けろと言う事ですよね? 気が付かず申し訳ありませんでした! どうぞじっくりねっとり御覧になってください!!」
そう言ってまた目にもとまらぬ速さで服を脱いですっぽんぽん状態になるウェンディスちゃん。
「そんな事は一言も言っていない!! お願いだから恥じらいをもって!?」
「失礼な!! 私にも恥じらいくらいあります!!」
「どこが!? さっきからためらいなく一糸まとわぬ姿になりまくってるのに!?」
「失礼な!! 良く見てください!!」
そう言ってウェンディスちゃんは自らの足先を指さし、
「キチンと白のニーソックスを履(は》いてます!! 私にだって恥じらいはあるんです!」
「ウェンディスちゃん……」
「なんですか? 兄さま?」
「そこは黒のニーソックスにしてくれた方が兄的には興奮するかな」
「!! 大変申し訳ありませんでした兄さま!! 次からは黒のニーソックスを履くようにします!!」
「うん、期待してるよ……っておぉい!!」
何自分の性癖暴露しちゃってるの僕!?
「とにかく服を着て!! お願いだから!!」
「仕方ないですねえ」
ため息をついて、やれやれといった様子で脱いだ服を一瞬出来るウェンディスちゃん。
え? なに? 僕がおかしいの?
「それで兄さま。私を呼ぶ声が聞こえた気がするのですけど何か御用ですか?」
「あぁ、もう鋭いとかいう問題ですらない気がするけどそこは突っ込まないでおくよ……」
この子はきっとこういう生き物なのだろう……。
「突っ込んでもよろしいんですよ兄さまぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「さっきからそのピンク色の頭をどうにかしなさい!!」
なんなのこの子! 全ての発言が下ネタへと誘導されるんだけど!! 本当に女の子!? 男でもここまで下ネタに走らないよ!!??
「雑貨屋で地図を買いたいんだけどいいかな? お金は全部君に預けてたよね?」
「地図を? ……分かりました。私も付いていきますね」
「うん」
良かった! 雑貨屋の場所とか知らないから付いてきてくれるのは本当に助かる!!
「ちょっと待ってくれよ! 俺たちも行くぜ!」
それまで会話に入れなかったレンディアと村人A(レデック》が駆け寄ってくる。
その背後には袋に詰められたドラゴンの鱗がある。
肉の方はレンディアが1人で大部分を持っている……さすがの怪力だ。
「うん、それじゃあ一緒に……」
「――」
ウェンディスちゃんが何かつぶやいたと思ったら……鱗が詰められた袋が倒れてしまう。
「あらあら、大変そうですね……先に私たちで雑貨屋に行かせていただきますね?」
ウェンディスちゃんがレンディアへと微笑みかける。
「いや、こんなのすぐ片付け……」
「先に私たちだけで行かせていただきますね?」
ウェンディスちゃんがレンディアとの距離をつめる。僕は彼女の背中を見つめる形となり、その表情は窺(うかが》い知れない。
「お、おう。……ごめんなさい」
「あらあら、レンディアさんったら。謝る必要なんて何もありませんよ?」
「いや、その……ごめんなさい」
え!? 何!? 何があったの!?
あのレンディアが素直に謝っているよ!? 心なしか体全体が震えているような気がするよ!?
「それでは兄さま! 行きましょうか!」
「あ、うん」
釈然としないまま、僕とウェンディスは雑貨屋へと向かった。
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