第14話 プレゼント
「こっ、これは……!」
そう、そこにあったものは、新しい剣だった。
「前に、アリアナさんがぼくのところにきて、お姉様に何か買って差し上げたいとおっしゃってきたんだよ」
「そうなのです! それで……」
アリアナはカムレアに自分で言うように促す。
「えっと、最近、リーンは剣術をとても頑張っているから、ずっと僕のお古を使っているのも申し訳なくてさ……。だから、あまり高いのは買えなかったけど、是非使って欲しい」
綺麗な赤色の刀身をしている剣だった。
「うわぁぁぁあ! めっちゃかっこいいじゃん!」
「うん、それに一応、ぼくが握って使い易さを確かめておいたから」
剣の天才が使いやすさを確認してくれた剣!? 国宝物じゃないですか!!
「……ほ、本当にこれ、もらっていいの?」
「うん」
「はい!」
「ありがとう〜!」
私は二人に抱きつく。
「ちょっ!」
カムレアはとても驚いているようだが今、そんなのは関係ない!
「いや〜、本当にありがとう! あ、もちろん今まで使ってた剣も飾るけど、実戦では今度から課題を使わせてもらうね!」
「うん」
「はい!」
(か、飾るんだ……。その剣、大して値段はしないんだけど……)
「そういえば、明日はルーク様のお誕生日ですね」
アリアナは夜ご飯を口に運びながら言う。
へぇ〜、夏なんだ。って、ここは知ってて当然じゃない! 婚約者なんだから! だから、当然知ってるようや素振りをしないと!
「うん、そうだよね、私明日、お城行ってこようかな」
「そうですね」
でも、アリアナも行きたいだろうなぁ……。
「アリアナも行く?」
「え! あ、ご、ごめんなさい! 明日は友人の家でのパーティーがあるので、行けません!」
「あ〜、じゃあしょうがないね」
「はい……」
翌日
私はまた王城に行った。ルーク様の部屋を訪ねる。
「お誕生日、おめでとうございます!」
「ありがとうございます。そうだ、リーン様も紅茶、飲みます?」
「あ、はい! いただきます!」
「では、こちらのクッキーもどうぞ」
ルーク様は相変わらずのイケメン顔で微笑む。
「いただきます」
私はクッキーを1つ、口に運ぶ。『サクり』という音がなり口の中にバターの香りが広がった。
「っ!……美味しい!」
え、こんな美味しいクッキー、初めて食べた! サクサクで、それでいてホロホロしていて、味はバターと砂糖だけのシンプルなものだが、素材がいいのか、とても美味しい! くそぅ! これが王族の力か……!
「ふふふ、やはり貴女はおもしろいですね」
「そ、そうですかぁ……?」
まだルーク様は笑っているため、少し恥ずかしくなって、
「なら、ルーク様も食べてみたらどうですかっ!」
そう言い、ルーク様の口にクッキーを突っ込んだ。
しまった……! 恥ずかしかったからとはいえ、皇子様の口にクッキーを突っ込んでしまった……!!
ルーク様は咳き込んでいる。
「す、すみません! だ、大丈夫ですか!? こ、紅茶を!」
ルーク様は紅茶を受け取って飲む。
「……ふぅ」
「あ、あのぅ、す、すみません!」
「ああ、別に大丈夫ですよ、こういう破天荒な感じは妹で慣れていますから」
ルーク様は微笑む。
妹……?
「妹って、もしかして、美咲さんのことですか!?」
「み、みさき……?」
「あ、あの、えっと……」
美咲さんのこっちでの名前って、なんだっけ……。
「ミサさんでした!」
そうだ! ミサ・アークリーって言ってた気がする!
「はい、妹の名前はミサです。ご存知だったのですね」
「あ、はい!」
なんで知ってるのかとか聞かれたらどう、誤魔化そう……。
「というか、美……ミサさん、そんなに破天荒だったんですね〜、全然そんな風に見えませんでした〜」
すると、ルーク様はとても驚いていた。
「……え? あのミサが?」
「はい。普通に良家のお嬢様に見えましたが……」
「りょ、りょうけのおじょうさま!?」
ルーク様は紅茶を飲む手が硬直している。もう少しで紅茶が溢れそうだ。そ、そんなに……?
え? 美咲さんって、結構やんちゃなの?
もしかしてルーク様って、結構苦労人タイプなのかもしれない……。
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