第13話 ゲームの真相
「ん……?」
私は起きた。今までと同じ、目を開けたら天蓋があった。
「……」
周りを見渡すと、なぜか私の部屋にカムレアがいる。
「! 目が覚めたんだね!?」
カムレアは私の手を握っていた。
「……なにがあったの? 全く、記憶が……。っ! 頭痛い……」
私は上半身を起こした。すると、酷い痛みが頭を襲った。おでこに手を当てる。
「大丈夫!? 君、男たちに襲われかけていたんだよ!」
「そうだったっけ……。ああ、そうだったね」
「安心して、未遂だったから……」
「そう」
「リーン? やっぱり変だね……。怖かったかい?」
「……いや、別に」
「何かあったんだね。大丈夫だよ。何かあっても、きっと、リーンなら大丈夫。大丈夫」
カムレアは目をつぶり言う。
「……ありがとう。元気でた」
そうだよ、私、カムレアたちとたくさん練習して、強くなったんだから! きっと、ルーク様に殺されそうになっても、大丈夫。きっと、大丈夫。リーンも、剣術はやっていたけれど。大丈夫。
だからといっても、殺した理由が明確ではない限り、警戒は必ずしておかなければ。
「私ね……、殺されるかも知れないの」
「!」
私、何言ってるの!? こんなこと言ったら理由を聞かれるに決まってるのに、話せる理由なんて、ないのに……。
「……! そうなの? それは大変じゃないか! アリアナさんたちに知らせて、護衛を増やしてもらわないと!」
「…… それはいいの。私が死んでも、それで彼女たちが幸せになれるなら、別に、いいの」
私は無理をして笑う。私は私が嫌いだ。私が死んでも、彼女たちは幸せになれない。どうなっても。なのに、もう、考えたくない……。
それに、私に理由も聞かないで優しくしてくれるカムレアにさえも、嘘をついた。
頬に、涙が流れる。
「あっ、あれ……」
私は涙を拭う。
「リーン!」
すると、突然美咲さんが部屋に入ってきた。
「あっ……」
(しまったわ……! 男女が同じ部屋にいて、一人は泣いている……。これは、もしかしなくても、わたくし邪魔パターンじゃないの!)
「では、ぼくは出ていきますね」
カムレアは何かを察知したのか、扉の外に出ていく。
「ありがとうございます!」
美咲さんは大声でお礼を言った。
「美咲さん!? どうしたのですか?」
「あ、いやぁ、語弊があったかなぁと、思ったのよ」
「? 語弊?」
「ええ、あの、貴女をルークが殺した話、あれは、アリアナに暴力を振るっていた貴女に、暴力をやめて下さいと交渉した時に、揉め合いになって殺してしまったそうなの。だから、今貴女が殺される心配はないわ。だって、姉妹関係は友好でしょう?」
! そうなんだ……。
「……はい、そうなんですね! わざわざ、ありがとうございました!」
な〜んだ〜。大丈夫じゃん! よかったぁ……。
「分かったわね!? じゃあ帰るわ、残り20分で家庭教師が来るのよ、もし遅れたなんて知れたら、ぶっ殺されるから! ごめんなさいね!」
美咲さんは一瞬で走って帰って行った。
その後、カムレアが入ってきた。
「すごい勢いで帰って行ったね……」
「う、うん……」
でも、わざわざ伝えるために家庭教師よりも優先して私の家に来てくれるなんて、いい人なんだなぁ。
「ごめんね、ぼくももうそろそろ帰らないと」
「あ、そうなんだ」
「うん、またね!」
カムレアは扉を出ようとする。その右手の裾を引っ張った。
「?」
彼は驚いている。でも、ちゃんと待ってくれていた。
「ありがとう!」
私は笑顔で言った。
「……うん」
カムレアも笑顔で言う。
そのまま、彼は帰って行った。
私は床に座りこみ、ため息をつく。
ありがとうって言うことすら緊張してたら何もできないよ……。どうしちゃったの? 私……。
***************************
その後、ルーク様も見舞いに来てくれた。
「っ!」
危害は加えてこないと分かっていても、どうしても少し怖かった。
「どうしたのですか?」
「あ、いや、その……」
「見舞い品です。どうぞ」
ルーク様はフルーツ盛り合わせを持ってきてくれた。やっぱりこの人もいい人なんだろうなぁ〜。
そのあと、私はリビングに降りた。夕飯を食べるためだ。
「お姉様、大丈夫だったのですか!? お見舞いの方々が来られていたため、なかなか顔を見せられずすみません!」
アリアナが寄ってきた。
「大丈夫だよ。ありがとうね」
けっ、結構疲れた……。
「あ、お姉様、聞いてください! カムレア様、お姉様を助けたとき、もの凄くかっこよかったんですよ!
『お前ら、そこを退け。さもないと斬るぞ……!』って、男たちも萎縮しちゃって、全く、情けないですよねぇ〜。とりあえず、カムレア様、すごく怒っていたんですから!
助けた後も、お姉様をお姫様抱っこしていて、凄いかっこよかったですよ!」
お、お姫様抱っこ!? されてたの!? お、重かったかな……。うぅ〜。恥ずかしい……
「あれ? ってことは、二人とも一緒にいたってことだよね? なんで?」
「あ、いや、そ、それは……」
アリアナは目を逸らす。汗もダラダラかいている。
「?」
「そっ、それよりも、カムレア様のかっこいい姿、お姉様にも見て欲しかったです〜。そしたら惚れ直したでしょうに……」
「ほっ、惚れ……!? な、何言ってるの! べ、別に私は……」
「私はなんです?」
「あ、いや、ゴニョゴニョ……」
「聞こえませーん!」
「うぅ……」
次の日
「お姉様!」
アリアナが部屋に入ってきた。布に包まれているから分からないが、縦長に大きい何かを手に持っている。
「おー、どうしたの? ……って!」
なんと、アリアナの後ろにはカムレアもいたのだ。
「ちょっ、なっ、えっ??」
私は寝起きのボサボサの髪にシワシワの服なので、とりあえず反射的に枕で顔を隠した。
「おはよう、リーン」
相変わらず笑顔で、彼は言う。
「おっ、おはよう……」
「カムレアさん〜、もう少し空気を読まれた方が良いかと……」
アリアナはニヤニヤして言う。
「え?! なにが!? ごめん、ぼくなんかした!?」
「あ、いや、大丈夫……」
私はまだ、枕で顔を隠しながら言う。アリアナはまだ、ニヤニヤしている。
……なんか、二人、仲良くなってない……?
「で、どうしたの?」
私は聞く。
「お姉様、隠していてごめんなさい! 実は、私とカムレアさんはお姉様にあるプレゼントを買いに行っていたのです!」
アリアナはお辞儀をする。
「そ、それがその布に包まっているやつ?」
「はいっ!」
あ〜! だから昨日、なんで一緒にいたか聞いた時に言葉を濁していたのか。
「では、どうぞ!」
アリアナは私にその物を渡す。
私は手に持つ。……ん? 金属……? いや、なんだろう。
「布、取るよ?」
「いいよ」
カムレアはニヤニヤしている。マジでなんだろう。
私は布を思い切り引き上げる。すると、『バサッ』という音と共にその物が露わになった。
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