第8話 剣の指導

 あの後、カムレアと犬を見てからそのまま家まで送ってもらった。

「また、時間がある時とか、ウチ来てね!」

「うん!」

「またね〜」


 帰ってからの、アリアナとアリサの質問攻めがすごかったけれど、そのまま部屋に追い返して私は寝た。___________________________________________


 ちゅんちゅんと、小鳥のさえずりが聞こえる。七時に私は目を覚ました。広い天蓋のベットから降りて、服を着替える。そしてそのままリビング的な部屋に行った。


 私は扉を開けると、本を読んでいる、長い茶色の髪をなびかせる美少女、つまり、アリアナがいた。

「おはよう」

「あ! おはようございます、お姉様!」

 アリアナは朝から元気でそして可愛い。

「それで、結局、昨日はカムレア様と、何をしたんですか!?」


「っ、そ、ソレノハナシハ、シナイデクダサイ」

 私は昨日のことを思い出して、なおのこと顔が赤くなる。アリアナはその様子を見て、ニヤニヤしている。


 すると、コックさんが食事を運んできてくれた。

「おはようございます、お嬢様方。今日の朝食はこちらでございます」


 バケットとバター。それに、サラダの上にはローストビーフがのっている。

 おいしそー!


「ありがとう、コックさん」

「いえいえ、どうぞお召し上がりください」

「うん!」

 私とアリアナは手を合わせていただきますと言った。




「ああ! おいしかったぁ〜。ごちそうさま!」

 なんか、アリアナがソワソワしている気がする……。

 私、悪いことしたかな? それとも、楽しみなことがあるとか?


「! 思い出したぁーーー!」

 アリアナと、後ろに立っていたコックさんはとても驚いたようで、『ビクッ』とした。


「ど、どうしたのですか。お姉様」

「ごめん! 忘れてた! 今から準備してくる!」

「? ……。あ」

 アリアナはも思い出したようだ。

「すみません、私も手伝います!」

「ありがとう。じゃあ、アリアナは動きやすい服に着替えてきて!」

「はい!」

「ど、どうしたのですか?」

 コックさんはおどおどしている。

「今日は、私がアリアナに剣術を教えると約束した日からちょうど、1ヶ月なんです」

「ああ! では、いってらっしゃい」

「はい!」


 私はリビングを出て自分の部屋に行き、動きやすい服(というか、いつもきている服だけど)に着替えた。


 そういえば、アリアナは多分剣とか持っていないよね。どうしよう。私の剣も騎士団の修練場に置きっぱなしにしちゃってるからな……。

「いざという時のために剣があるのに、それを持ち歩かないでどうするんだ!」と言う、耳の痛い騎士団長の声が聞こえてくる。


「ああ、団長の言う通りにしておけばよかった……」


 私は庭に出て、木刀を手に取る。どうやら家にあったようだ。いつも、鉄でできた剣を持っているからか、とても軽く感じた。これでも中学の頃、初めて木刀触ったときは重いと思ったのになぁ〜。


 とりあえず、重さを剣一本ぐらいにしたい。そうしないと、素振りをする必要性がなくなってしまうからだ。それでいて、手に馴染む感覚にさせたいから、同じような刀系の持ち手がついているもの……。


「うーん、なんかあったかなぁ……。」

「お待たせしました、お姉様!」


 アリアナがやってきた。長い茶髪をリボンで一本に束ねている。

 か わ い い 。


「ポニーテールだ! 可愛いね!」

「ぽ、ぽにーてーる?」


 しまった。昔の人はポニーテールなんて知らないか。

「それより、アリアナ、剣って持ってないよね?」

「……はい。すみません」

「ああ、全然大丈夫なんだけど……。うそ、大丈夫じゃない。困ったなぁ」

 すると、「お困りのようですね?」という声がした。

「このイケボは……!」

「い、いけぼ? とりあえず、ルーク様ですね!」


 すると、庭の低木の奥。つまり、ウチの敷地の外から見慣れた金髪美少年のルークが出てきた。


「こんにちは、リーン様、それにアリアナ様」

「こんにちは!」

「こ、こんにちは……」


 アリアナはだいぶ恥ずかしがっている。お洒落をしていない、ラフな格好だからだろうか。でも、シンプルでもアリアナの素材がいいから、全然かわ((殴


「おや、先日同様、剣術をされているのですか、もしや、ご趣味なのですか?」

「あ、いや、なんか、かっこいいなって思って」

 中学の時に始めた理由がこれだから、嘘は言っていない!

「ぷっ! カッコいいですか? やはり、貴女は面白い方ですね」

 ルーク様はお腹を抱えて笑う。


 そ、そこまで笑われると、こっちも恥ずかしいって言うか……。確かに自分の単細胞ぶりは認めるけど。って、一応ウチは進学校だったんだからね!? 中高一貫の女子校! 偏差値は中堅ぐらいの! そんで、大学はマーチの一つだからね!

 ……熱くなるな私。彼にこの旨を伝えても絶対に伝わらないことだけはいくらバカでも分かる。

 そういえば昔、朋美に、

『あんたって、勉強できるけど、バカだよねwwww』って、LIN●で言われたなぁ……。

 あれ、まずい! 今回、伏字が多い!これ、著作権的にまずいよ!?


 そういえばと思い、チラリとアリアナの反応を伺う。彼女は少し、辛そうな顔をしていた。


「……。」

 私は別に、ルーク様のことが好きなわけじゃない。だからこそ、とても悲しい気持ちになった。

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