第6話 アリアナの気持ち
「おや? どうしました、リーン様」
ルーク様は少し笑う。
「い、いやぁ……。別に、なんでも、ないです」
ってことは、私の将来女王陛下!? 嘘! 礼法とか、女子校で習った程度なんですけど !終わった、私の人生、終わった……。
「リーン、彼、知り合いなの?」
「あ、うん……。コンヤクシャデス……」
「え……?」
「婚約者!」
何故かカムレアは灰になる。
(リーン、婚約者なんていたの!?)
(終わった……)
リーンとカムレアは同じことを思う。理由わけは全く違うが。
「おや? リーン様は、剣術なんてなさるのですか?」
しまった、バレたらまずい!
「え、いやぁ〜、こ、これは違くて……あの……」
「そうですか。はい。リーン様に免じて、他の方には内緒にしておきましょう」
クリストバルはいたずらっ子っぽく笑う。
「あ、ありがとうございます!」
よかったぁ〜
「皇子様ー!」
遠くから声がした。
「おや、僕のことを探しているようですね。ではまた伺いますね、リーン様。さようなら」
そう言い皇子様……クリストバル様は去って行った。
カムレアはまだ石化している。
「あー、緊張した! 私、あの人苦手なんだよね〜……雰囲気っていうか? なんていうか……」
「たっ、確かに……なんか、不思議な感じだね……」
カムレアは急に息を吹き返した。
「そう! あとなんか、アリアナのことが好きっぽいし……。」
「そうなの?!」
「うん、前にすぐにアリアナのところに駆け寄ったりしてたから」
「……そうなんだ。リーンも大変だね……。あれ? アリアナさんって、リーンの妹さんだっけ?」
そうだよ! 大人になった時、下手したら君と恋仲になる子!
「うん……」
すると、ラールド騎士団長がやってきた。
「おい、さっきこっちに皇子様こなかったか!?」
これは、話を合わせておいた方がいいんだよね?
「あ、はい。来てないですよ」
「そうか、いなくなったんだよ」
「えっと、見てないですけど、もう戻ってくると思いますよ」
「そうか? よく分からんが、そう言うなら戻るぞ。お前らはバレないようにそこで大人しく練習しとけよ!」
『はーい!』__________________________________________
翌日 ガルシア家 夜
「はぁ」
今日も訓練でどっと疲れたなぁ……。
「お姉様、どうされたのですか? 最近、いつも何処かへ行ってしまわれているようですし」
隣で本も読んでいたアリアナが顔を上げて言う。
やばい!怪しまれた!?
「え、あっ、いやぁ……。というかさ、アリアナ、
私って将来、王妃様になるんだよね……?」
「は、はい。このまま順調にクリストバル様が王座につけば王妃様ですね」
「やっぱそうなのかぁ〜……」
しまった。急にこんな話をしたから、アリアナは驚いたかな。
「えっと、お姉様、私の勘違いだったら申し訳ないのですが、もしかして、お姉様は王妃様になりたくなかったりするのですか?」
「え? まあ、だってね。礼儀作法とか、私知らないよ……?」
「そ、そうですか?」
(たっ、確かに最近、お姉様、色々とだらしないような……というか、礼儀作法は昔から習っていましたよね……?)
「あー、やだなぁ……」
「そうなんですか……。私に変わって欲しいぐらいですよ〜」
アリアナは微笑む。
「え……?」
え、まじで? アリアナ王妃様になりたいんだ。
「あっ、いや! 違くて! と、とりあえず失礼します!」
アリアナは赤面させて否定をした。
なんか変だな。
「ああ、うん。おやすみ〜」
「はい……」
リーンの部屋を出て、廊下で壁に寄りかかる。
「はぁ、言えるわけないじゃん。初めて会った時から、私はルーク様が好きなんて……」
アリアナは呟いた。
思わず私は持っていたクッションを落とす。
「……は?」
きっ、聞いてしもーた! え? アリアナって、ルーク様が好きなの!? 嘘! そんな素振り一度も……って、私が鈍感なのか……。
でも、そっか、アリアナはルーク様が好き。
ルーク様も、もしかしたら割と高い確率で、アリアナが好き。……あれ?私、めっちゃ邪魔じゃん……。なんか、悲しくなってきた。やっぱり変えようと思っても、悪役は悪役なんだな……。
……寝よ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます