第三話 狭間
人間だれしも、欲がある。愛されたい、必要とされたい、認められたい、他にも色々ある。無論、私にもある。しかし、その欲がたまに必要ない時もあると思う。その時、決めるのは自分だが、相手に結論を委ねる人もいるだろう。それは、僕だってそうだ。決めるのが難しい選択肢は、誰かに聞いてきた。だが、それでも、その相手が出した結論が正しいとは限らない。人はだれしも間違いをする。間違をしてこそ成長できる。そして、その失敗をすることこそが人間味を感じる瞬間である。ただ、これだけは覚えておいてほしい。選択肢を委ねて、それが間違いだったとしても、相手に非はないということを。なぜなら、その選択肢を自分で決めない、決断力の弱さ、他人に縋ろうとする自分の愚かさに原因があるからだ。
私は、迷っていた。失敗は怖いから逃げるのか、失敗しても目標に向かって立ち続けるか。修太はもう決まっていたそうだ。というより、誘ってきたやつが決まってないとおかしいが、とも考えたが、気にしなかった。そこで、私は、こいつに何をするか聞いてみた。
「修太は、将来っていうか、これから何をやるか決まったのか?」と、なんとも大雑把な質問を投げかけた。
「俺はそうだなぁ、起業でもしようかなぁって思ってる」と、淡々と言った。さすがにびっくりした。行動力にステータス全振りしてるのかと思うほどだ。なぜなら、私たちは、まだ高校生、そんな奴がいきなり起業して成功するとは到底思えなかった。修太は気にせず言葉を発した。
「でも、まだ特に何するかは決まってはないけどな。とりあえずは、いろんな情報をかき集めて、そこから一つずつ成長していこうと思っている」と、一緒に落ちこぼれになろうと言ってきたのこいつだが、さすがに、少し否定的な私がいた。
「さすがに、高校卒業して、起業って難しくないか?知識も何もないんだろ?だったら、大学で経営学でも学んでからでも、」と、言っている途中で、修太が私の言葉を止めるように話し出した。
「確かに、難しいだろうな、なんなら、お前の言う通り、大学で学んでからだって遅くはない。だがな、俺は大学に行く意味がよくわからない。ましてや、経営学なんてものはな」と、修太は言った。僕にはどういうことかわからなかったので、理由を聞いた。
「なぜかって?愚問だな。いいか?大学で経営学行っても、必ず起業するとは限らない。なんなら、企業で働くのが大半だと俺は思う。それを、遮られるなら、自分で学んで、自分で設立させたほうが、成功すると俺は思うけどな」と、説明された。自分はなぜか妙に納得した。多分こいつの話し方に説得力があるのだろう。自分の中の狭間にある選択肢を除き、行動する。私は、そんな修太に少し憧れを抱いた。そこで、私も心の狭間にある葛藤と闘いをするのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます