第二話 希望

修太と出会って、十何年、今はそれぞれ将来について考えるころだ。

「悠は、将来何をやるか決めたか?」と、修太は帰り道の時に聞いてきた。

「いきなり何言ってんだよ。将来か、そろそろ考えるべきだよな。といっても、これといってやりたいことってまだ見つかってないんだよな。」と、答えた。

そう簡単に将来を考えられるわけない。何種類もある仕事を一つだけ決める、分岐ルートに答えはあるのか、そう考えてしまう。確かに、転職という手もあるが、逃げているようで私はそこまで好きではない。

「だったら、一回落ちこぼれてみるか?」と、修太は意味の分からないことを言ってきた。

「何言ってだお前、そうしたら人生終わるだろ。」本当に何言ってるかわからなかった。落ちこぼれたら意味がないと思う。

「いや、案外そうでもないよ。ていうか、なんで人生終わるってわかるんだよ。やってみなきゃわかんねだろ。」修太はまるで、自分の人生は自分で決める。誰の意見も耳を貸さないと思った。やってみなきゃわからない。確かにそうだ、と思ったのと、こいつは神に逆らって生きているんだ、とも感じ取ってしまった。そう思うと、自分は、

「そうだな、やってみなきゃわかんねえよな。よし、んじゃ、一回落ちこぼれてみるか。」と、私と修太はともに人生を歩んでいくことに決めた。

しかし、この先ずっと、修太と一緒ということは百パーセントという保証はない、といらない心配もしてしまった。きっといつかは別々の分岐ルートを歩んでいき、幸不幸の繰り返しを続けていくのだろう。

修太は陽キャだ。きっとすぐに見つける。偏見かもしれないが、仕方ない。そう見えてしまうのだから。自分とは違い、平凡に生きているわけではない。ただ、今、この瞬間は修太とともに同じ分岐ルートを進んでもいいと思った。一緒に楽しさも苦しさも体験し、将来に生かす。そう考えると、この人生も悪くないのでは、と思う。

いつか、その希望が自分に近づき、この手でつかみ取るまでは。

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