第8話

 武装探偵社が居を構える建物の前で、敦は鏡花の帰りを今か今かと待っていた。

「ーーあれは!」探偵社の方へ向かってくる人影を見て、敦は目を凝らした。

 探偵社に向かって来たのは鏡花だった。

 鏡花は敦に気づくと、小走りで探偵社へ向かった。

「遅くなった。ごめんなさい」敦の元へ着いた鏡花は謝った。

「大丈夫だよ。それより、何かされたりしなかった?」

「平気。ただ買い物したり、お菓子食べたりしただけ」

それを聞いた敦は安堵の表情を浮かべた。

「心配、した・・・・・・?」

「うん。ちょっとだけね」敦は微笑んだ。

「さっ、探偵社に戻ろう。みんな鏡花ちゃんの帰りを待ってるよ」敦は鏡花の手を引き、探偵社事務所へと昇降機エレベーターを登った。

「さあ、鏡花ちゃん」

 事務所の入り口に着くと、敦は鏡花に扉を開けるよう促した。

「??」鏡花は不思議そうに扉を開けた。

 鏡花が扉を開けた時、室内で一斉にクラッカーが鳴り、紙吹雪が舞った。

「せーのっ!」

「鏡花ちゃん、おめでとう」

 乱歩の掛け声を合図に、探偵社の全員が鏡花を祝った。

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