第3話
墓地の中に合同納骨堂がある。女の母親の骨はそこに納められているという。女は毎週そこへ墓参りにいく。プラスチックの定規にマジックペンで「ゆかりの墓」と書き、地面から堂の基壇に立てかけ、跪き、手を合わせ、小さい声で「ママ、安らかに眠れ。」と祈る。それから心の中で「ママ、待っていてね。アタシももうすぐママのところへいくから。」とつぶやく。二、三日したら定規の墓標は清掃員に片づけられ、女は翌週にまた、新しい定規をもって墓地にいく。
(つづく)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます