第10話 初めてのお出かけとハンター登録
イベントの日は早朝に起きる。
運動会に始まり遠足、修学旅行に卒業旅行、7時に起きれば間に合う
悪名高い社員旅行でも5時ころに目が覚めていた。
こちらに来ての初めての外出ともなるとイベント扱いらしい。
エリーに言って取り寄せてもらったのは昔映画でみた
アメリカ開拓時代の映画で女性が着てたものに近い気がする。
しばらくドアの前でぼーっとしていると
深い青のワンピースを着たイレーネが来た。
「待たせたかしら」
「今来たところだよ」
こういう時は何か一言言った方がいいのか、女同士でもいうのかわからない。
無難に似合ってるねといえばいいのか?今日は素敵!って言う勇気は出なかった。
「さあ、行きましょうか」
気を取り直して歩き出した。
午前中は服屋巡りをし、試着するイレーネに付き合ってあちこち見て回る。
服なんて着られればいい人生だったからどうかなと聞かれても
なんと答えたらいいかわからない。
どうしたらいいかわからない私は持てるバリエーションのすべて
(似合ってるね、かわいい、素敵)を駆使して乗り切った。
一通りウィンドウショッピングをして
そろそろお昼にしようかということになったが、
こんなこともあろうかとエリーがお昼代をくれたおかげで
イレーネにたかることにならずに済んだ。
これも神殿からだしてくれたのだろうか。
ありがたくお昼ご飯を食べることにする。
「ねえ、カオルはどんなの食べたい?」
「そうだねぇ、どんなのがあるのかな」
「テーショク、パスタ、ラァメン・・・あとは串焼きに
野菜スープとパンの店があそこかな」
それぞれの店に指さしで教えてくれながら
この辺で食べられるものを教えてくれた。
定食にパスタにラーメン・・・色々な影響がみられる。
「イレーネは何が好きなの?」
「そうだねぇ、テーショクかパスタかなー、ラァメンは食べ方がちょっとね」
といっていた。きっとすするのがダメなんだろう。
「じゃあ、パスタにしようか。」
女性が食べるならパスタが無難だろう。
パスタの店に向かい、重そうな扉を開ける。
ほとんどの席が埋まっていたが奥のテーブルとカウンターが空いていた。
奥のテーブルにつきメニューをもらう。
麦も唐辛子もニンニクもあるのだろうか。
メニューの文字は見慣れたものだったが同じものなのか寄せた違うものなのか。
ブレンボとチチトーンのペペロンチーノにしよう。
ブレンボとチチトーンがなんだかわからないがペペロンチーノなら大丈夫だろう。
「イレーネはなににしたの?」
「あたしはミルギルとタタンプのアラビアータにしたわ」
「私はブレンボとチチトーンのペペロンチーノにしたよ」
店員を呼んで注文をする、
どうやらお昼にはコーヒーか紅茶が付く様で二人とも紅茶にした。
「この後付き合ってほしい所があるんだけど一緒に行ってくれる?」
とイレーネが言った。午前中散々付き合ったが今更だな、と思い
「いいよ、どこ行きたいの?」と答えた。
「ハンター協会に行って登録したいんだよね、おこずかい稼ぎしたいの。
あとは依頼を受けて戦いに慣れたり色々ね」
荒事に慣れてないからそういうこともした方がいいのかもしれない。
「いいね、私も登録しようかな、戦い慣れておいた方がいいよね、
私もおこずかいくらいほしいし」
「こういう時に力ある貴族なら仕送りも色々手を回してくれるんだろうねー」
「ボンボンはいいねー」と言ってからボンボンは通じるかと心配したが
特に変な顔されなかったので通じたらしい。
「ペドロとロペスとルディは学校入る前にハンター協会に登録してるみたいよ」
「さすがだねー」
なんていっていると給仕がパスタを持ってきた。
たしかにペペロンチーノだった。
ミニトマトに似ているがなんだかデコボコしているし縞々の野菜と
緑の茎に白黒の粒々のブロッコリーが乗っていた。
なんだかとてもおいしくなさそうなペペロンチーノを食べてみる。
味はたしかにペペロンチーノだった。
昔の召喚者はここにたどり着くまでどれだけ食材を探して回ったのだろう。
はるか昔に召喚されたという先人の苦労を偲びながらペペロンチーノを食べた。
会計をしてハンター協会に向かう。
ハンターといいながらよくよく話を聞いてみると
ただの登録制で日雇いのアルバイトみたいなものらしい。
元々はちゃんとハンターだったらしいのだが、上から下まで全員ができる仕事をそろえていたらそんな変なことになってしまったらしい。
そういうのは冒険者じゃないのかと聞いてみたら
冒険者は冒険をするんだからどこかに所属する必要もないし
街になんか帰ってこないしいっぱいいるわけじゃないから
協会とかギルドとか必要がないとのことだった。
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