第6話 魔法の講義と初めての実践
講義室3へ戻ってきた。
講義なら前の方がいいだろうということで机に突っ伏して寝ている二日酔いのルイス教官の酒臭い息が当たらない様、教卓からずれて座る。
イレーネが隣(教卓の正面)に座りそうだったので1つずれてあげた。
同好の士は断らないと確信している様な表情でどうだった? と聞いてきた。
お昼なら是非って言ってたよと答えると喜んでいた。
鐘がなりやはりしばらく、1分くらいしてからだるそうに起き上がった。
「あぁ~、だいぶましになったーだれか食べ物持ってない? ない? そう」
そう言ってコップに水を出し飲み干した。
「やっぱり井戸水の方が美味いな、じゃあ、魔法理論の基礎の1回目でーす。」
というわけでだるそうに始まった講義だったが
大別すると3つ、
・黒魔法、自分の魔力を糧として世の理にアクセスし、行使する。
・精霊魔法、理の異なる世の力ある存在に力を借りて力を行使する。
・信仰による奇跡、神に信仰を捧げることにより神の力の一部を借りて行使する。
同じ現象を起こそうとした場合、どの発動方法でも結果は変わらないらしいが、
使用する魔力量や威力に影響を与えるらしい。
発動方法は
・直接行使する
・魔法陣などで発動する黒魔法や精霊魔法、信仰による奇跡を起こす。
・魔力を注ぎ込み体から離して行使する(魔石を経由することが多い)
例外として魔力が湧き出す金属などを使った魔剣や神剣があるとのことで、次の時間の練兵場での訓練で肉体強化を覚えるらしいが、それは直接魔力を注ぎ込むにあたる、と補足が入った。
講義をする割に授業内容は覚える必要はなく、実技で試験をするらしいが信仰による奇跡はできたら加算される程度。
筆記があるのは3年からでそれまでは戦闘訓練と魔法訓練だけを行うのだった。
この時間はこの国では主神を唯一とする国教を持つ国だが、他には自然信仰の国や主神とその子供たちも神として祀る国、新しき神を名乗る神本人が統治し、信仰させている国があるらしいが言いたいことはいざというとき役に立つから信仰はしといた方がお得だ、
といっていた。
信仰にお得とは、と思ったが、そういう信仰だと奇跡もそれなりなので不遜とかは気にしなくてもいいらしい。
まれに特に信仰していないのにものすごく祝福されて発動する人がいるらしいが、過去に来た英雄の子孫なのではないかと言われているという程度で、特に研究などされているわけではないということだった。
戦えるように訓練された後はハンター協会に登録して簡単なところから依頼を受けていくとこづかい稼ぎにもなって一石二鳥だと言っていた。
鐘が鳴り次の練兵場に移動する。
みんなでぞろぞろ移動する。
ロペスは低位貴族でルディは騎士の家系らしい。
肉体強化が得意だと自慢しイレーネに一緒にハントに行こうと誘っていた。
こっちの世界のデートは二人で狩りにいくのかな、殺伐としてるなぁと思っているとカオルも行くならいいよと言っていた。
私の肩を肘置きにしながら
「3人でどうだい? 危険な目にあってもおれが守ってあげられるから安全にハントが楽しめるよ。」
と言い、前髪をファサっとかきあげた。
お貴族様とやらはこんなもんなのかな、とイレーネを見たら苦笑いをしていた。
巻き込むんじゃないよとかお前あんまり強そうじゃないな、という思いを込めて
「3人じゃ心細いなぁ、もう1人か2人くらい強そうな人がいるといいんだけど」
と答えた。
「そうかい? じゃあ、ルディと兄を呼ぼう、これで決まりだね」といい、ルディに声をかけて一緒にどこかに行った。
イレーネは小さい声でごめんね、と言った。
うまく断れなくてごめん、と答えた。
「では今日は肉体強化の魔法を使い戦闘訓練をする。」
ヴィク・ヴァン・ハインと名乗った筋肉ダルマはそう言った。
いきなりか! と驚いたが個別に最も強い肉体強化を使わせて同じくらいの強さで訓練させる分別はあるようで胸をなでおろした。
ペドロとロペスとルディは部位別の肉体強化しかできないという危なっかしいものだったが練兵場は神の奇跡の結界があるため、痛みはあるが、致命的な怪我にはならず短い時間で元の状態に癒されるので首を飛ばしても短時間なら大丈夫という高性能で夢のような結界に守られていた。
この効果がある装備があれば不死身の軍隊が作れるなぁと思い、無敵の軍隊について夢想しているとぼーっとするな、と怒られた。
そういえば昔もぼーっとして怒られたなぁと懐かしく思い出した。
「肉体強化を見せてみろ」と言われ、
「やったことないのでわかりません。」と答えた。
とんだ箱入りだな、と言われお前は最後だ、と後にされる。
私以外は弱いが使えるという程度だった。
みんなのを見ていると強化したい部位に魔力を集め、強化のための呪文らしきものを唱えるだけでよさそうだった。
「魔力をため、強化を、というと簡単な肉体強化がかかる。やってみろ」
「きき、強化を」というとほんのり肘から先が光った。
「なかなか良い反応であるな、どれわたしの手を殴ってみなさい」
そういって手を出した。
見よう見まねのファイティングポーズを取り、ヴィク教官の差し出した手に左拳をあて距離感をつかみ、腰の回転を乗せて右手を思い切り突き出した。
当たった瞬間パン!と手首から先が弾け飛んでなくなってしまった。
「ええ? ええ! なんでぇ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます