7-57 隠絵 ※挿絵付
※問題イラスト再掲
https://kakuyomu.jp/users/mochimochinomochiR/news/16818023214019444487
―――――――――――――――――――――――――――――――――
「そもそもこの絵の同音異義語って一個なん?」
「「「あ」」」
ヤスの予想外な切り口の質問を受けて、
「そうか、うん、そうだよなっ! 同音異義語なんてメチャクチャ珍しい単語だし、俺らは一個見つけて満足してたけど……」
「ええ、二個目があるかもしれません!」
「いやぁ部長、よく気付いたな?」
「ああ、でかしたぞヤス!」
「え? ――あたっ」
自分の功績を理解していないヤスがポカンとしていたので、その背をパンッと
「ハッハッハ、これがスーパーヤスさんの力だっ! さぁ、皆で偉大な僕をもっと
「……本当に
「えーと、目堂さん、ありがと? む、むむ……なんだか照れるなぁ、あはは」
目堂から純粋な賛辞が送られて、ヤスは戸惑いを隠せない様子だ。まさか本当に褒めてもらえるとは、思ってもいなかったのだろう。
「にしても、まさか二個目が──んっ、二個?」
新たな視点で見たことで、今しがた悩んでいたベン図の謎について、一つ答えが見えてきた。
「そうか……これならベン図の向きにも説明が付く」
「おっ、次は
「おうよ」
皆に期待の目を向けられる中、俺はたった今解けた縦向きの謎について説明していく。
「さっきまで俺らは、左の絵から流れてきた『
「ええ。上手くはいきませんでしたけど……」
「ああ、それだとベン図は通常通り横向きで良くて、だから答えに
「わあぁ、そういう事だったんですね!」「……納得」「さすがだな、あんたなら解けると思ってた」「並列配置……ん、んん?」
約一名を除き納得顔であり、隣の夕も小さくウンウンと
「あともしかすると、まだ絵が隠されてるかも──ん、やってみた方が早いな。すまんが目堂、もっかい厄災メガネ借りていいか?」
「……役立つ厄災……ふふっ、変なの」
何やらツボだったらしく、目堂はクスクス笑いながら手渡してきた。先ほどの騒動が良い方向に転じたのか、人見知りオーラがかなり薄まっていて、何だかとても可愛らしいなぁと感じる──っていやいや、もちろん夕には負けるけどなっ!
そうして首を振りつつテントの外へ出ると、予想した箇所に光を当て、皆のところへ戻って用紙をテーブルに置く。
「みんな見てくれ、矢印が出てきたぞ!」
「「「おお〜」」」
(挿絵:https://kakuyomu.jp/users/mochimochinomochiR/news/16818093073460660219)
左のデザートの絵から右のベン図の二つの円に向かう形で、左の枠内に矢印が二本出てきたのだ。
「ふぉっふぉっふぉ~、よくぞ隠し絵まで見破ったぁ~! ヤスくん大地くん〜、あっぱれあっぱれじゃぁ~!」
「「ヨッシ!」」
なるほど、隠し絵と言うからには、最悪見つからない可能性も考えていたようだ。つまり解くために
「これで同音異義語が二つあることが確定したし、これを探し出したら、ついにゴールだな」
「ええ、皆で頑張りましょうっ!」
「「「おー!」」」
◇◆◆
こうしてヤスの閃きで大きく前進した俺たちは、再び同音異義語探しをすることになり、しばらく左の絵とにらめっこしていたのだが…………これがまた、一向に見つからない。このラスボス、しぶと過ぎる。
「うぅ、困りましたぁ……絵から連想できる言葉はいくつか思いつくんですけど……」
「同音異義語って条件が、マジでキツすぎるんだよなぁ」
「それな。本当はあるけど、オレらが知らない英単語ってパターンもあるしさ?」
「僕なんて、英訳の時点で詰んでるからねっ!」
このように、発想力だけでなく豊富な英単語知識も要求される訳だが、俺含めてこのメンツは英語が特別得意でもない。ここは堪能であられる夕先生にヒントでも
「――こほん」
すると願いが通じた訳でもないだろうが、夕がそっぽを向きながらボソボソと話し始めた。
「ショートケーキかぁ~。あー、この絵を見てたら、ボクなんだかスイーツが作りたくなってきたなー。実はさっきのデーツの話で、新作のスイーツ思いついたんだよなー。これ絶対美味しいスイーツになるぞー、ウンウン」
「え、鉄人、急にどしたん? んまぁ小学生の鉄人は英語分かんないし退屈だろうけど、僕らが今頑張ってるところだから、邪魔しちゃだめだぞ?」
突然飛び出した夕のパティシエ魂――と見せかけて、これは
「あはは~、ヤス君おもしろぉ~い♪ ね~、あっさくん?」
「エー、ボクワカンナイ。ふすーふすー」
当然ヒントと気付いているなーこから茶化されるが、吹けない口笛を吹いてトボける夕先生。何してても可愛いのがズルい。
それで夕先生がくれたヒントだが、やたらと連呼していた『スイーツ』のことで間違いないだろう。
「――おっ、大地のその顔は……やったか!?」
「なんで無駄にフラグ立てんだよテメェは」
「まぁまぁ、それで?」
俺の様子に目ざとく気付いたヤスへ
「スイーツと言ったら――」
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