ここまでのあらすじ④-1

【第1幕】

 主人公の宇宙こすも大地だいちは幼少期に両親を事故で亡くして天涯孤独となり、高校生の身で一人暮らしをしていた。普段は同じ弓道部の天馬てんま靖之やすゆきとは会話するものの、極力人付き合いを排し、無自覚の寂しさを抱える。そこで見知らぬ幼女の天野あまの夕星ゆうづ(=夕)にパパと呼ばれて求婚された上に毎日押しかけられ、大地の惰性の日常は一変することになる。

 夕は高い観察眼・洞察力・語彙力ごいりょくを備えた上に何故か大地を知り尽くしており、大地好みの手料理を振る舞って真摯しんしに寄り添おうとする。そんな夕に大地は次第に信頼をおいていく。

 大地は究極のドジっ子転校生の小澄こすみひなたが無謀にも弓道部を希望すると知って悩む。大地は夕に妙な助言を受けて陽の動向を密かに探り、四人で話し合った末、ドジっ子の誤解が解けて皆で陽を歓迎する。

 大地は陽がヤクザに絡まれる現場に遭遇するが、見捨てて帰ろうとし、激怒した夕と喧嘩別れになる。その夕の涙は、独り帰路に就く大地をさいなみ続けるのだった。


【第2幕】

 大地は父が亡くなる凄惨せいさんな夢を見て、弱き者を助けよとの教え、夕の涙を思い返す。来訪した夕を追い返そうとするが、その想いに打たれて仲直りする。

 再来した夕に、心を癒すために家族として共に過ごしたいと言われるが、大地は夕もどうせ居なくなると拒否する。対して夕は永遠に側に居ると全霊の誓いを叫び、大地はその一途な想いに心を救われ、夕に誇れる人間になると決意する。

 大地が正体を尋ねると夕は養子による義理の娘と答え、依然と理解できず謙る大地に激しく動転する。それは未来の大地への尊敬の念ゆえだが、大地は知らずして目の前の俺を見ろと諭す。夕は未来の大地を重ねていたことを猛省すると共に、今の大地への恋心を明確に自覚し愛の告白をする。そして大地の信頼を確かに感じた夕は、ついに未来人であると明かした。

 大地は夢で父に最期と同じ言葉で激励され、自身の心の成長を示すと共に夕を大切にすると誓うのだった。


【第3幕前編】

 大地は夕とキスする夢を見る、ヤスへ嫉妬しっとするなど、夕を異性として意識し始めており、自分はロリコンなのではと悩む。道場への道すがら遭遇した夕は大地を覚えておらず、罵倒ばとうした上におびえだすのだった。ヤスの機転で冷静となった大地は、夕への信頼や昨晩の交代の発言からその夕を別人格(=ダレカ)と推測する。

 大地は見捨てた件を陽に謝罪し自身のトラウマも打ち明け、夕からもらった勇気を示す。夕との仲を応援すると言われ相談に乗ってもらう。

 大地はこれまで敵愾心てきがいしん満載だった一色いっしき夏恋なこと和解し、その素直さにまるで別人と驚かれる。友達となった夏恋にも夕との仲を応援してもらうことになり、相談に乗ってもらう。

 自宅で待っていた夕は推測通りダレカの記憶を持っており、大地を悲しませたことで自責の念に押しつぶされ涙を流す。大地は夕の愛で成長した事や、側に居て欲しい事を熱く語って無事に落ち着かせ、夕とのきずながより深まるのだった。


【第3幕後編】

 大地は夕と昼食を取った後、未来や彼女についての詳細な説明を受けることとなった。

 二十歳の大学生兼研究者である未来の夕は、現代を生きる十歳の夕(=ゆづ)の脳へ記憶と魂のみを送っており、そのゆづこそが今朝大地と遭遇したダレカであると明かされた。大地の予想通り夕の意識が優位にあるようだが、活動時間など制約は多く、特に夕が脳内に居る状況でゆづが大地を強く認識すると彼女達に命の危険があり、夕と大地は彼女に隠れて過ごす必要がある。

 夕が大地と遭遇することで世界は分岐しており、元居た世界とは異なる未来を辿たどっている。現在虐待を受けるゆづは、向こうの世界では大地に引き取られて救われており、大地は同様にゆづを救いたいと望むが、夕と共に生きるならば上記の理由からそれはかなわない。複雑な状況と難しい選択に思い悩む中、再び夢に現れた父から夕に関する問答を通じて諭され、ついに大地は夕への恋心を明確に自覚するのだった。


【第4幕前編】

 マメ、夏恋なこ沙也さや、ヤス、ひなたと校門で合流した大地は、同行する事となった少年朝日あさひが夕だと気付くも、訳ありと察して気付かないふりに徹する。夕と二人乗りでBBQ会場に向かう途中、出店のクレープ屋で食べさせ合い等をして皆で楽しく過ごした。

 到着後、火起こし班の夏恋、陽との雑談にて大地は、幼少期にガキ大将ヤスから助けた泣き虫の子は陽だったこと、彼女はその勇気を胸に成長し彼に感謝していることを知る。そこへ現れたやから達が陽へ色目を使い乱暴しようとするが、大地がかばいつつ体術であしらい、夏恋の話術で撃退する。大地はかつての正義感あふれる姿を見せ、奇しくも先日の汚名返上を果たした。

 皆で記念写真を撮り、マメのサラダ、ヤスと沙也の串焼き、夕の一流スペイン料理&ステーキを囲んで舌鼓したづつみを打ち、BBQは大成功を収める。大地は人を拒絶してきた自分が皆と楽しめている事実に深く感じ入ると共に、その変わる切っ掛けをくれた夕へ深く感謝するのであった。

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