第4幕

前編

7-01 虚夢

 ぅえっぐ……ぐすっ……

 

 目の前から泣き声が聞こえる

 周りはかすみがかって朧気おぼろげ

 その姿すら判然としない

 かすれくぐもった知らない声

 何故泣いているのか

               どうでもいい


 ごめっ、ごめん、なさい……

 ごえんあさいぃ……


 心に浮かぶは『 』

 ただただ虚無だけが広がる

 何も感じない

 興味がない

            どうでもいい


 わっ、わたし――


 その子は何か言いたげだ

 構わず立ち上がり部屋の戸へ足を進める

 ああここは茶の間か

 見慣れているのに違う別の場所

                  どうでもいい

              どうでもいい


 まって……おねがい、まってぇ……


 背後から声がかかる

 意に介さず外へ出る

               どうでもいい

       どうでもいい

                 どうでもいい

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