6-53 届物
話が一段落したところで、夕はおやつを作りに台所へと行ってしまい、現在俺は毎度お
そうして手持ち
今日の話から、夕の置かれている状況については概ね把握できたと思う。それで肝心の疑問となる「夕はなぜ俺に会いに来てくれたのか」、それは夕が何度も言ってくれているように……俺が好きだからということなのだろう。ただ、現代へ飛ぶ前の時点でその動機が存在するという事は……きっと未来の俺へ恋していたのだろうな。しかも「私のヒーロー」とまで言っていたほどだ、それは他の何者でも代えがたいほどの強い想いだったに違いない。夕はそんな想いを捨ててまでここへ――いや、あれほどに
そうとなれば、例の件――夕への返事について、なおさら安易な判断はできなくなった。もはやこれは、俺の気持ちの
とは言えだ、このまま知らん顔をし続けるのも流石に夕に対する誠意が……でも夕は急いで返事を求めていない気も――
ピンポーン
そこで思考を遮るように、チャイムが鳴った。
茶の間を出たところで、台所から夕も顔を出してきたので、「俺が出る」の意で手を振っておく。夕にこれ以上仕事を取られる訳にはいかんというのもあるし、いくら家族枠とは言っても来客の対応までさせる訳にはいくまい。
玄関に向かいつつ、誰だろうかと思案する。ヤスが用事を終えて戻ってきた可能性もあるにはあるが、あいつは基本チャイムも鳴らさず上がりこんでくるから多分違う。やはり新聞か宗教の勧誘あたりだろうか。
サンダルを履きつつ戸を見ると、すりガラスに映るシルエットは角張って縦横に大きい。何か大きな物を持っているようであり……宅配だろうか? このパターンは珍しいな。
「はい、どちら様ですか」
「どうも、ダイワ運輸です!」
戸を開けると、
「
「……ええ、そうですよ」
訂正しても微妙な顔をされて面倒なだけなので、そのまま肯定しておく。
「お届け物です。あとハンコかサインを~」
宅配員はそう言って手に抱えた大荷物を手渡してくる。一辺一m近いサイズの巨大ダンボール箱だったので、相応に身構えて受け取るが……想像より
「どもっしたー!」
差し出された伝票にハンコを押すと、配達員は時間が惜しいとばかりにすぐさま走り去って行った。日々ノルマに追われているのだろうか……大変そうな仕事だ。
巨大な荷物を持って廊下を歩きながら、送り主を考えるものの……後見人の叔母くらいしか思いつかない。こちらは別にいいと言っているのに、たまに衣服や食料を送ってくれたりする。ただ、普段は通販を使わない人だし、そもそもこんな大量に送ってくることはない。
それで首を傾げながら茶の間の前まで来ると、
「おおっ、届いたみたいね」
夕が台所から小走りでパタパタと近付いてきてそう言った。
「ん? ああ、お前の荷物だったのか――っておい、なんでうちに届くんだよ!」
家族枠ということで、危うく納得しかけてしまった。
「あ……うっかり言うの忘れてた。ごめんね?」
夕は何でも卒なくこなす子だけど、たまにこうしてうっかり忘れをする。未来では夕の家でもあったのだから、仕方ないのかなとも思うが。
「いやまぁ、別に構わんけど――よっと」
とりあえず茶の間の中に置いて、その横に座る。
「んで、このバカでかい箱の中身は全部夕の服なのか?」
「うん。それでここに送らせてもらったのは……あの家にあたしの物を置くと、ほら、ゆづが怪しむから……ね?」
「…………なるほど」
夕が行動した
「随分と苦労してんだなぁ」
「まぁ、ね」
夕は苦笑いしながら
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