6-04 拒絶
新たな決意と共にヤスと歩いていると、前の方に夕と同じ私学制服を着た小学女児の歩く姿が目に入った。最近は頻繁に見ることになった制服だなぁ――って、
いやいやいや、何でここに居るわけ? 待ち構えてたとも思えないし……偶然、だよな?
とはいえ、この距離の後ろ姿でも余裕で判別できてしまったなんて、ヤスに知られるとまた
そのまましばらく歩いていると、俺らと夕では歩く速度が全然違うので自然と追いついてきた。
「あれ? 前に歩いてるの……もしかして夕ちゃん……じゃね?」
お、ここまで近づけばヤスも気付くか。
「そうみたいだな」
「おいおい、噂をすれば愛しのお姫様のご登場ってわけかよ。
ヤスは
「んなこと言われても知らんわ! まったく好き勝手いいやがって。あと、夕がお姫様て……見た目はともかく、そんな柄かよ」
仮にお姫様だとしたら、普段は家臣を散々振り回す傍若無人なお転婆姫だけど、いざという時には情に厚く頼れる姫ってとこだな、間違いない。いやそんな設定どうでもいいし。おいそこのバーチャル姫、十二
「せっかくだし挨拶くらいしてこうぜ」
「ん……そう、だな」
昨日や夢の件で、正直なところ顔合わすのも恥ずかしいんだが……偶然にも見かけてしまったなら、声くらいかけとかないとか。
そう思って早足で近づき、呼びかける。
「おーい夕、こんなとこで奇遇だな?」
すると、夕はこちらの声に気付いたのか、後ろへと振り返る。
その姿は髪型以外いつも通りの夕ではあるのだが……なんだろう、少し雰囲気が違うというか、小首を傾げて
「ん、どした? こんなとこで偶然出くわしたから驚いたか? はは」
夕のことだし、すぐにでも大喜びで飛びかかってくるかもしれないな……よし、構えといてやるか。
そう思っていると、
「あんただれ?」
夕は
「…………え?」
今言われたことの意味が、全く解らない。
えっと、夕が、俺に、言ったんだよな?
「ど、どうしたんだよ夕……な、何か怒ってるのか? 悪い冗談はやめろよ、はは……」
自分で言ってて、絶対に冗談なんかではないと解ってる。夕は仮にどれだけ怒っていても、例え冗談であっても、こんなことを絶対に口にするわけがない。そもそも冗談を言うような和やかな雰囲気でもない。
でも……せめてそうであって欲しいと願って、口から出たのかもしれない。だが……
「いきなり話しかけてきて何なのよ? あー、もしかしてナンパ……とか? ってあんた高校生よね……ロリコンなの? うえぇ……気持ち悪い……」
夕は全身から嫌悪感を
「お、おい……」
かつて夕から向けられたことのない圧倒的な嫌悪の感情に、俺はただただ混乱して、たじろぐことしかできない。
「そもそもなんで名前知ってるわけ? もしかして、ロリコンの上にストーカーってやつ? さいっあくね! キモ過ぎなんですけど!」
「えっ……あ……」
いつもの優しかった夕と同じ声で次々と投げかけられる
そこで
「す、すまん大地。僕にもさっぱり……」
ヤスもこうなっている理由が全く解らないようだ。もうどうしたらいいんだ……。
「夕、その、どうしちまったんだ? 何か怒らせてしまったのなら、この通り謝るから――」
そう言って夕に迫ろうとするが、
「近づくなぁっ!」
夕は一歩後ずさると、一層険しい顔をして震え声で拒絶してきた。
「!」
「こっ、これ以上近づいたら……お、大声出す、わよ!」
さらに、俺を拒絶する夕の手には防犯ブザーが握られていた。しかも、その手は震えており……まさか、
「そん、な……」
その耐え難い現実に、俺は完全に頭が真っ白になっており、今にも気を失って倒れてしまいそうだ。
「大地! ここは引こう!」
「あっ、あ、あぁ……」
ヤスの掛け声に
その間も、夕はこちらをひたすら警戒した目で、じっと
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