ポートマフィアに連れ去られた武装探偵社員の話

ばなな

第1話

僕の名前は寺島 康太。

武装探偵社員見習いだ。

いつも通り、朝起きて、歯を磨いて、朝御飯を食べて……いざ、武装探偵社へ!


と、言いたい所だったのだが……


どこだ!?此処は!!


と、とにかく、状況を整理しよう。

僕は今布団の上に座っている。

上を見上げると黒い天井が見える。

辺りを見回せど、窓らしきものが無い。

正面には見えにくいが、扉らしきものがある。

開けようとしたが、この状況で鍵が開いているとは到底思えない。だがもしこの扉が開いていたら?

可能性は無きにしも非ず。この言葉を信じて進もう……

ガチャ、と音がした。が、前に押せない。後ろに引こうとしても、ビクともしない。


……完全に詰んだ。

僕の人生は終わりだ……

武装探偵社で働いていた割には、運動が出来ない。

1km走る、いや500m走るだけで息が上がってしまう。

そして何より……


声が小さい!!!!


ここから叫んだとしても、外に声は届かないだろう……


矢張り詰んだ……


そう思った時、コンコン、という扉を叩く音がした。


「私だ。入るよ」


……私って誰……?


ガチャ、という音がし、長身の男が入ってきた。


「目が覚めたかね。失礼ながら、拉致させて頂いたよ。」


えぇ……何事もないように拉致したと言えるのが凄い……


「こ、此処って……」


「此処はポートマフィアの本部。自己紹介が遅れたね。私の名前は森鴎外。ポートマフィアの首領だ。君は武装探偵社ではなく、ポートマフィアで働いて貰うことにするよ。」


「い、いきなりそう言われても……!武装探偵社にはなんと言ったんですか!?」


「あぁ、その事か。君の寮の机に置き手紙をしておいた。」


「な、内容は……」


「確か、内容は『僕は、探偵社を辞めてポートマフィアに就くことにしました。短い時間でしたが、良くして下さり、ありがとうございました。くれぐれも、ポートマフィアに来ないで下さい』と書いた気がする。」


「僕は書いてないのに……まず何故僕なんかがポートマフィアに入れるんですか?

武装探偵社でも下っ端でしたよ?」


「それは単純さ。」


いつの間にか扉にもたれかかっていた男が口を開いた。


「君の異能力に興味があるから。でしょ?森さん。」


「太宰くん、居たのかね。此処には立ち入らないように言ったつもりだが」


僕が2人の会話に追い付かれていない事を察したのか、茶髪の男が、


「あァ、済まないね。私の名前は太宰治。ポートマフィアの幹部をさせて貰ってる。よろしくね。」


とてもよろしくと言い返せなかった。何故なら彼の目は幾度も人を殺めてきた、自ずとそう言っているように聞こえたからだ。だが、挨拶をされて挨拶を返さないなど世間では許されない。少し怖がりながらも


「よ、よろしくお願いします太宰さん……僕の名前は寺島康太です……」


「自己紹介は済んだかな。さて、私は忙しいので太宰くんに案内は任せよう。いいね?」


「えー、まァいいか。康太くん、今森さんが言った通り、私が案内するよ。着いてきてくれ給え。」


「よ、よろしくお願いします……」


こ、これから僕、どうなっちゃうの!?!?




続く

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