第27話 類は友を呼ぶ
花火大会が終わった次の日、いつものように昼前に起きると黒羽がリビングで本を読んでいた。
「あ、おはようございます」
「ああ、おはよう」
そういえば、黒羽昨日も泊まったんだったな。
黒羽はもう昼食の時間か。
「黒羽は昼これから食べるのか?」
「はい、十六夜さんが起きてきたら用意しようと思ってたので」
「じゃあ、今から作るのか?」
「そうですけど、ある程度準備しているのですぐに作れますよ」
「なら、十二時くらいに食べるか」
「分かりました。もう少ししたら作りますね」
「ああ、よろしく」
いつも通り黒羽に料理を任せてキッチンに向かい冷蔵庫からお茶を取り出し、コップをもってリビングに戻る。
お茶を飲みながら買いだめしてある本を適当に一冊取り読み始める。
しばらくの間何も話さずに本を読んでいると、黒羽が本を置いてキッチンに向かった。
もうそろそろ昼か。
黒羽がキッチンに言ったのを見送り、買いだめしておいた本を十冊読み終わる。
次の本を読もうとしたところで黒羽が昼食を持って戻って来た。
「ご飯出来ました。持ってくるのでもう少し待ってくださいね」
「ん、分かった」
読もうとした本を戻して座って待っていると、黒羽が料理を運び終えて隣に座った。
いつもの休日と同じように黒羽が作った料理を食べる。
そういえば、黒羽は夏休みの宿題やってるのかな。
「黒羽は夏休みの宿題やってるのか?」
「宿題はもう全部終わりましたよ」
「は?」
黒羽の通ってる中学そこまで宿題少なくないよな……
確か、黒羽と輝夜は火曜日から夏休みのはずだから、二、三日で全部終わらせたのか……
「夏休みはゆっくり遊びたかったので、今週のうちに全部終わらせたんです」
「今週って言うけど、金曜日は昼くらいに来てたよな……」
「水、木の二日で終わらせましたから」
「早すぎないか?」
「十六夜さんは夏休みの宿題を忘れていて最終日に全部終わらせたと聞きましたよ」
そういえばそんなこともあったな。
また輝夜が余計なことを話したのだろう。
というか、俺に関しては例外だから気にするだけ無駄だな。
「あの時は結構頑張ってやったからな」
「私も頑張ったんですが、流石に一日で終わらせるのは無理でした」
「一日で終わらせるものじゃないからな」
「まあ、そうなんですけどね」
はあ、何で俺の周りに二人も天然チートがいるんだ……
神様から貰ったチート能力が優秀だから良いが、この世界優秀な奴が多すぎるだろ。
「なあ、俺の周りに天才が多い気がするのは気のせいかな?」
「そうですか?……天才かは分かりませんが、優秀な人は多いですね」
「だよな。人付き合いが少ないはずなんだが、どうしてこんなに多いんだか」
「類は友を呼ぶってことじゃないですか?」
「類友ね……」
確かに、類は友を呼ぶとは言うが……神様から貰ったチート能力持ちだと大変なことになるだろ。
いや、実力主義の学校に集まってるからまだいいのか?
能力値的に普通なのは京谷くらいか……いや、唯もまともか。
「何を考えてるかは分かりませんが、十六夜さん以上に優秀な人はいないですよ」
「そんなことはないと思うがな……」
「いつもそう言いますが、私が知っている限りでは十六夜さん以上に優秀な人はいませんよ」
「世の中広いからな。黒羽が知らないだけですごい人はたくさんいるぞ」
「……本当ですか?」
「本当だよ」
俺に出来ないことを普通にやってる人はたくさんいるしな。
むしろ、何か一つを極めてる人には勝てる気がしないし。
「何かを極めてる人には勝てるもんじゃないぞ」
「それは……そうですね」
「俺は全体的に出来ることが多いだけで極めてるわけじゃないからな」
本当に極めてる人はすごい。
俺は努力して極めるなんて無理だか絶対にたどり着けない領域だしな。
「そういえば、俺の周りで何かを極めてる奴もいないな……」
「類は友を呼ぶってことですね」
「…………なるほど」
何も否定できないな。
類友って本当にあるんだな。
変なことを考えながら昼食(朝食)を食べ終わり、片付けを黒羽に任せて先ほど読もうとした本を取りに行く。
本を読み終わるころに黒羽が洗い物を終わらせて戻ってくる。
「いつもありがとうな」
「いえいえ、お気になさらず」
「それでこれからどうするんだ?」
「今日は浴衣があるので早めに帰ります」
「そうか、何時くらいに帰るんだ?」
俺の問いに対して黒羽は壁に掛けてある時計を見て俺に視線を戻して口を開いた。
「五時か六時ですね」
「それは早いのか?」
「早くないですか?」
疑問を疑問で返されたが、どう考えても早くないだろ。
普通に考えて五時から六時は家に帰る時間だ。
それ以降に帰るのが遅いのであって普通の時間だと思うんだが……違うのか?
「まあ、黒羽がそれでいいなら俺は良いが……」
「では、そのくらいの時間に帰りますので、何かゲームしませんか?」
「そうだな。何かするか」
「十六夜さんが選んでください」
黒羽にゲームを選ばされて適当に選んだゲームでいつも通り遊んだ後、黒羽は六時に帰っていった。
六時に帰るって結構遅い気がするんだけどな……
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