幕間1-2
「……え?」
「で、殿下?」
「こちらが黙っていればぬけぬけと……! 貴様、アレクシスが夜な夜な
「えぇっ!?(鍛錬してるのは知ってるけど)そ、そんなエピソード知らない!」
「そうだろう!」私の悲鳴に、カリブロンは
「【千里眼】がある分、自分の方がアレクシスのことを知っていると思ったようだが……僕とアレクシスは
そこまで言って、カリブロンは鼻息
「……えーと……」私は
「アレクシスが頑張っていることなど知っているッッッ!!!!」
ドン、と私の言葉を
「アレクシスが常に自他を
「……えーっと……」
私とアレクはもう一度顔を見合わせた。ただ、今度は
私はなおも
「アレクシス様のこと、お好きなんですね。殿下」
「なぁっ……!?」
私の言葉を聞いて、カリブロン殿下はハトが
「なっ、ち、ちちち違う! 僕がアレクシスを
「いえ、出鱈目も何も、今お聞きした事実を並べるとそうなってしまうというか」
「き、貴様……!」
カリブロン殿下が
するとそこで、満を持して、アレクが
「殿下。私のことを、それほどまでに認めてくださってありがとうございます。まだまだ至らぬところばかりですが、仰っていただいた通り、ここで歩みを止めるつもりはありません。これからも
「ぐ……!」
「それと、先ほど仰った後継者の件ですが……私は、殿下を除いて次代の王はいないと考えています。殿下こそ、遠く
「それは僕もキミに並ぼうと……ああいや……クソッ!
「カリブロン殿下」とそこでさらに、アレクは
「殿下が王になった
「──ッッ!!!!!!」
ひゃーすっごい……! 横にいた私も手で顔を隠しながら(でも指の隙間から覗いてたけどね!)、
「……ぶ、分家の人間にしては
「そんなふうに
「ええ
「……フン!!」
そう鼻息を立てて、カリブロン殿下はズンズンと庭園を歩き去っていった──
「……ふぅぅーっ……」
殿下が王宮に消えた後、アレクは背中を丸めながら深く息を
「あ、アレク様」
「ああ、ミレーナ様……すみません、なんだかどっと気が
「はは……まさかこんなふうになるとは。
「え、あ、そ、そうかもしれないですね……てへへ……」
アレクに言われて、私は笑うしかなくなって頰を
ただ、そんな私を見たアレクはさらに、微笑みながら服と
「あ、アレク様……!」
「じっとしていてくださいね、ミレーナ様」
アレクの大きな、滑らかな指が私の身体に優しく
「……殿下とは、確かに昔は兄弟のように仲良く過ごしていました。しかしいつからか殿下の──いえ、
「……アレク様……」
ちょちょ、ボディタッチしながら大事な話しないでアレク。今こっちにそんな重要情報処理する
「けれど」なおもアレクは私に言葉をかける。
「ミレーナ様のおかげで、殿下の本心が見えました。殿下と私の心は、離れてしまったわけではなかった……王家と分家というしがらみはあれど、私たちの間には今なお
「い、いえそんな……」
私はしどろもどろになって返答を絞り出した。いやあの、本当に何の
ただ、アレクとしてはそんなこと関係ないらしく、心から嬉しそうな顔をして私のことを見てくれていた。それに私がウッと
「うぇっ!? アレク様!?」
「……先ほどは、私を認めてくださって、そしてそれを言葉にしてくださって、ありがとうございました」
アレクの
「やはり私は、貴女が『オーアインの聖女』でいてくださることが誇らしい……どうか、殿下が王になった時、貴女も私のそばにいてください。この国には──そしてきっと私にも、貴女のような人が必要なのですから──」
アレクの唇が手に触れた瞬間、私は手を、というか身体をビュンと引っ込めて、アレクから高速で
「あっ」
「あッ! あのッ!! す、すいませぇッ!!!!」
目を丸くしたアレクに、私は
「あの、わ、わたッ私ッッ!!!! 用事を思い出したのでこれでッッッ!!!!!!」
「み、ミレーナ様」
「しッッッッ!!!!!!!! 失礼しまあぁすッッッ!!!!!!!!」
──かくして、私はカリブロン殿下に続き、
はあああもう、これだから『オーアインの聖女』なんてもんは……! 不意にこんなとんでもないイベントに出くわすあたり、やっぱり国の
……まあでも、推しから期待してもらえて、そしてまた推しとお近づきになれるのなら、この立場も悪くないのかもしれない──なんて、かなりゲスなことを思いつつ、私は王宮に向けて全速ダッシュをキメたのだった……。
ちなみに、私が走り去った後、アレクは「失礼だったか」と頭を搔いていたそうだ。そしてその顔には
……推しのレアフェイス
▲ジョブレベルが上がりました。
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