2 推しの悩みを聞くことになったんだけど分かりみが深すぎてヤバイ
2-1
この世界でも有数の軍事力を
『オーアインの聖女』は国王直属の女性神官であり、最強の軍隊である
オーアインの聖騎士たちは、
かつてある聖女は、一度騎士たち全員に
とどのつまり、奇跡とは魔法の一種なのだ。自分の
ちなみに、この世界の神職は神への敬意によってその力を得るため、
聞くところによると、今までの『オーアインの聖女』たちも毎日のように長時間の祈りを捧げていて、自分のジョブレベルを、ひいてはMPを上げ、有事の際に自分が死なないようにしていたそうだ──けれど、たとえ私が同じ立場だったら、お役目のためというよりも、自分が消えたくないが
いやもちろん、前までの聖女様たちが同じように思っていたかどうかは分かんないけどね! ただ、もしも今までの聖女たちの祈りに我が身
──そう。私ことエナ・ミレーナは、今までの聖女たちとは一線を画す、『
◇◆◇
「ミレーナ様、こちらの本でよろしかったですか?」
「ええ、ありがとうソラ。この歴史書が読みたかったのよ」
オーアイン王城、北の
前世で言えば国会図書館みたいなものだけど、あっちはお金を
まっ、『オーアインの聖女』たる私なら、顔パスでいつでも入れるんですけどね! しかもお手伝いさんの
「……ミレーナ様?」
「はいっ! あ、ご、ごめんなさいねソラ。早く受け取らないと重いわよね」
「いえ
そう言って、ソラは本を持ちながら、
養護院からスカウトしてきた、ソラという十二歳の女の子が私の侍女だ。少し前までは
いやほんと、私がキモオタムーブを決めた時でも毎回笑顔でスルーしてくれる文字通りの天使様なんだよなぁ……もしこの子をいじめるような
さて、そんなソラから歴史書を受け取って、私はパラパラと中のページに目を通した。
「ああこれこれ……現王家がどうやって本家と分家に分かれたのか、そこが気になっていたのよね。ありがとうソラ」
「えへへ……やっぱり、ミレーナ様はすごいです!」
ふふ、と満足げに笑う私と、
「だって、お仕えして
「……ええ、そうかもしれません。神はいつでも私たちのことを見守っているのだから」
いやまあ、本を読んだり街にお
そう。私は三騎士への尊みを感じれば感じるほどに、神への
そしてジョブレベルが上がるということは、この世界におけるステータスもどんどん上がっていくということだ。ここでいうステータスっていうのは地位とか
もちろん、聖女としてのステータスが上がったからといって、ムキムキのマッチョになるわけはない。むしろ私は運動不足気味で、
しかしその一方、常人ならよくて二
魔法
ちなみにソラが言った通りで、私は一日のスケジュールの中に礼拝の時間をほとんど取っていない。というのも、礼拝堂でブツブツ祈っているよりアレクたちのことを考えながら行動している方が
まあ、なぜ私がこの世界に(しかも前世で『箱推し』していた
そんなわけで、今日も私は「やることはやってるから!!」と内心言い訳しつつ、ソラを連れて特権階級を
──と、そんなモノローグを垂れ流しながら私がうんうんと
「おや? もしかして、そこにいらっしゃるのは……」
ひょいと
「アアアアレクシス様!?!?!?!?」
「うわぁぁっ! アレクシス様だ!」
「どうも、ミレーナ様。公務以外の場でお会いするのは初めてですね」
そう言って、端正な顔でニコリと笑うアレクと、アイドルに出会ったかのように興奮して
「……ミレーナ様?」
「ははははい! すみません、大丈夫ですはい、すみません!」
キョトンとしているアレクに、バグったプログラムみたいな返事をする私。いやあの、公務の場では死ぬほどシミュレーションしてるから平気なんですよ。それをこんな、いきなり推しと対面することになったらこうなりますって。バグりますって頭。
聞けば、今日のアレクは私と同じく非番で、読みたい本を求めて図書館にやって来たらしい。アワアワしながら最低限の
図書館の中に設けられた、簡素な四人がけの木机。私とソラが
「アレク様もミレーナ様と同じで、勉強熱心でいらっしゃるんですね! 休みでもこんなにたくさんご本を……!」
「ああ……君は確か、ソラといったか。いつも我々の聖女様を助けてくれてありがとう。これからもよろしく
「……!!」
アレクにそう言われて、
当然ソラは
ただそこで、アレクが私にぽつりと言う。
「ところで……聖女様は、王家の歴史に興味がおありなのですね」
「……あっ」
バッと、反射的に本の表紙をひっくり返す私。
いや別に、後ろめたいことはないんですよ? ただアレクから見れば、私の持っていた本は自身のルーツに関わるもので
「……分家の歴史、ですか……フフ。私は別に、自分の出自について調べられたからといって、目くじらを立てることはありませんよ、ミレーナ様」
しかし、ダラダラと
「確かに、私は直系の王族ではありません。神権を
「アレクシス様……」
アアアアアアア尊いいいいいいい!!!!!!!!
▲ジョブレベルが上がりました。
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