リナの本当の正体が明らかに

 リナは驚いた。テリーがリクだと聞いてしっかりと見ると、確かに面影がある。


「ねぇ、あなたは本当にリクなの?」


リナは懐かしさがこみ上げ、リクの元へとゆっくりと駆け寄ろうとした。


「……そうだよ。ずっと君が欲しかったんだ。オイラの元へおいで」

「はぁ? ちょっと待って! おいらってあんた誰なのよっ! リクはそんな変な話し方なんかしない。偽物ね」


一瞬甘い雰囲気が広がったかと思えば、その一言で一気に状況が変わる。


「チッ、騙せなかったか。そこのねえちゃん魔力高いじゃん? 美味しそうだからいただきます」


「うっ、早いっ……」


凄まじい速さでリナを貪るように覆いかぶる。それを必死でボンとランドが止める。騒ぎに気づいた従業員一同リクを引き離そうと引っ張るが全く歯が立たない。


「こいつっ、何者なんだ」


ランドがそう言うとリクは嬉しそうに答えた。


「何者かと聞かれれば、答えるしかないな。オイラはオクト。魔物だよ」

「魔物って……アレクが倒したんじゃないの?」

「アレクというのは魔法使いか? アイツはちょっと古すぎだよ。殺されそうになったから核をアイツに移したんだ。でも、なぜかアイツではなく、この人間の姿だがな?」


オクトはリナを抱きかかえ飛び上がった。


「リナ嬢を離せっ」


ボンが叫んだそのとき、そこに何者かがオクトの腕を切り落とした。


抱きかかえられていたリナは落ちてしまったが、ランドが抱きとめた。思わずリナは呟いてしまう。


「えっ……ありがとう」


ドアップのランドは何度も見ていたはずだが、リナの心がざわざわとして、胸が熱くなる。リナは顔をそらして、腕を切りつけた者に尋ねた。


「昔の庶民だったころのあのボサボサヘアがトレードマークの天然パーマのリクが立っていた。


「ねぇ、あなたは本当にリクなの?」


リナは懐かしさがこみ上げ、リクの元へとゆっくりと駆け寄ろうとした。


「……そうだよ。ずっと君が欲しかったんだ。オイラの元へおいで」

「はぁ? ちょっと待って! おいらってあんた誰なのよっ! リクはそんな変な話し方なんかしない。偽物ね」


一瞬甘い雰囲気が広がったかと思えば、その一言で一気に状況が変わる。


「チッ、騙せなかったか。そこのねえちゃん魔力高いじゃん? 美味しそうだからいただきます」

「うっ、早いっ……」


凄まじい速さでリナを貪るように覆いかぶる。それを必死でボンとランドが止める。騒ぎに気づいた従業員一同テリーを引き離そうと引っ張るが全く歯が立たない。


「こいつっ、何者なんだ」


ランドがそう言うとリクは嬉しそうに答えた。


「何者かと聞かれれば、答えるしかないな。オイラはオクト。魔物だよ」

「魔物って……アレクが倒したんじゃないの?」

「アレクというのは魔法使いか? アイツはちょっと古すぎだよ。殺されそうになったから核をアイツに移したんだ。でも、なぜかアイツではなく、この人間の姿だがな?」


オクトはリナを抱きかかえ飛び上がった。


「リナ嬢を離せっ」


そこに何者かがオクトの腕を切り落とす。落ちそうになったリナをランドが抱きとめた。思わずリナは呟いてしまう。


「えっ なに? 急に戦隊もののヒーローっぽい人が出てきたけど……あなた誰よっ?」


「これで何度目のやり取りになるのでしょうか。毎度お馴染みな反応をありがとうございます。私はピルカ王国にて騎士団長を務めておりますフリークと申します」


「えっ…ピルカ王国って、私はあなたのことなんか一度も見たこともないわよ? まぁ今は誰でもいいわ。それより早くこの魔物どうにかしてよ」


「さすがはリナ嬢ですね。相変わらず微塵も私を覚えて下さらないのですから。まぁいいでしょう。このオクトを倒した暁には私と結婚してくださいませんか?」


その告白を聞いて慌てたように口を割ったのは、ランドだった。


「おいっ、ちょっと待てリナリア。俺が先にだな……プ、プロ……」


「あーもうランドは黙ってて。騎士団長だっけ?結婚の話は今はどうでもいいのよっ! 先にアイツをやっつけなさい。命令よ」


「御意」


フリークを初め、騎士たちはオクトと戦う。しかし、今のオクトは魔力過多でリクに魔力の使い方を説明していたがために、自由自在にファイヤーボール等をバンバン飛ばしている。それに、治癒魔法のおかげか切り落とされたはずの腕もいつの間にか生え直していた。


いくら剣の達人とはいえ、騎士たちは魔法専門ではない。魔法専門の魔術師たちではないため、全く手を出せない状況だった。


「ちょっと全然使えないじゃない。何やっているのよ。もうっ」


リナは制止できない怒りに駆られていると、オクトが苦しみだし、うごめき始めた。


「リ……ナ……逃げろっ」


この声はリクだろうか? それとも、アレクだろうか。どちらかわからないが逃げろと言われたので、逃げようと試みたが、オクトはまだ頭を抑えていた。


今なら殺せると思ったリナは魔力を使おうと、力を入れると一気に頭がぐらついた。


「ダメだっ。リナ……魔力を使っては吸収される」


この的確な指示はアレクに違いない。しかし、このままだとアレクとリクの両方が危ない。リナは自分の魔力を精一杯溜め込もうとした。


そのとき、ランドが隠し持っていた魔石が光り輝いた。驚いたリナは集中力が欠けてしまう。


「なんだっ……なんか剣になったぞ。これで倒せるんじゃないか」


ランドは表情を明るくさせていた。そして、その光輝く剣が声を上げた。


「ここに聖なる聖女様誕生。聖女様この魔物を静めることできる」

「ちょっと待てよ。そこは剣を握っていた俺じゃねぇのかよ」


ランドは思わず悪態付いた。


「わかったわ。聖女とかここに来ていきなりテンプレでちょっと嫌だけど仕方ないわね。やってやろうじゃないの」


リナはランドから剣を奪い取り握りしめ、オクトに向かってその剣を刺した。オクトからは青い血が流れ出てきたが、何も起こらない。


「えっ、どうしよう。私ミスったかも……こういうとき小説とかアニメだと呪文とか聖なる~みたいな決め台詞あったけど私普通に刺しただけだった……もしかしてダメだったのかな」


急に不安になるリナの手をランドが強く握りしめる。


「大丈夫だ。今までだってこの島をここまで発展させたんだろう。それってすごいぞ。リナリアは出来る子なんだ。自分を信じろ」


「自分を信じろって初めて言われたかも……」


リナは心が温かくなる。オクトが光るのと同時にリクとアレクはオクトから放り出されていた。その瞬間にオクトの体が大きくなり、まだ苦しいのかオクトは暴れまわっていた。


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