ボンのリナへの想い

 みんなが感心していると、ボンが遊びに来た。


「ボン、何しにきたのよ。ここは女の園なのよ」


「よく言うよ。コイツが、男がいるじゃないか」


「男じゃなくておじいちゃんよっ」


「おい、リナ嬢よ。やめろっ」


慌てたようにリナの発言を制止するアレク。


「あら、チェリには知られたくないのかしら? もう用は済んだし、みんな解散にしましょうか」


「なら、アレク……お話を……」


照れくさそうに声を掛けるチェリがかわいく見えて仕方がない。


恋する女は綺麗なのだろう。そういえば母の彼氏がそんなような歌を歌ってわね。昔の記憶を思い出しながら、2人にエールを送る。


「はいはい。いってらっしゃい」


アレクとチェリはどこかへ行った。


ボンがリナを夢中で見ており一点凝視していたため、ジェシーとミーシャはボンの思いに気づき、そーっとその場から去ろうとした。


ルーミーがボンの様子がおかしいことに気づいたのかボンに近づこうとした。ミーシャが慌ててルーミーの腕をとり、上階へと無理やり連れて行ったのだった。


ボンの視線に気づいたリナはボンに問いかける。


「ちょっと、ボン何よ。気持ち悪いわね」


「いや……リナ様は本当に綺麗なんだな。その制服がいつも以上に際立たせている」


「ちょっと……何よ。なんか変なものでも食べた?」


リナは思わずしどろもどろになって狼狽えてしまう。ボンはその瞬間に近づき、リナの顎を上に上げた。


「殿下の妻でもいい。俺を浮気相手にしてくれないか?」


「何バカなことを言ってるのよ。ふざけるのもいい加減して」


「ふざけていない。このままではリナが他の男に取られる。それは嫌なんだ」


目の前の男性は本当にあのハゲ頭のボンなのだろうかとリナは混乱して、顔を赤面させた。


「なぁ、駄目か」


「ダメに決まっているでしょう!!」


リナは照れもあって、ボンの頭を叩き、蹴飛ばした。


蹴飛ばされたボンは、フッと笑った。


「……よかった。元気になったみたいで……殿下が来てから疲れているようで心配していたが、いつものリナ様だな」


「もしかして、心配してくれてふざけたこと言ってたの……?」


「……まぁ……そういうことにしておこうか。リナ様を苦しめたくないし、邪魔にはなりたくない」


「なんかよくわからないけど、ありがとう。久々に人ぶん殴ったおかげか、気分がすっきりしたわ」


「そうか。いつでもサンドバッグになってやるから我慢しなくていいぞ」


「……ありがとう」


リナはボンのやさしさに嬉しく思い、見直したのだった。本当にこの島の人たちはいい人が多いような気がする。ここの人たちがもっと幸せになれるように私ももっと頑張らなくてはと新たな目標ができたのだった。


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