制服を試着

 リビングに、チェリ、ジェシー、ルーミー、ミーシャ、リナが集結した。なぜか皆制服がぴったりである。


「えっ、ちょっと待って。どういうこと?」


「リナ様、この服すごいのですよ。着た瞬間に服が纏わりついたかと思ったらピッタリになっていました」


「はい? どういうこと?」


リナはジェシーが何のことを言っているのか全く理解できない。


「リナ様、これはアレク様がお作りになったのでしょうか?」


「えぇ、そうよ」


「やっぱり、制服の袖を通した瞬間アレク様の匂いが香ってきて気づいたら胸元が窮屈だったのが、楽になりました」


「なんか色々つっこみたいところだけど、我慢するわ。もしかして、アレクの魔力が作用したってことかしら」


リナがチェリの言葉を反芻し、紐解いていく。タイミングよくアレクが現れた。


「あーよかった。ちゃんと着れたようだな」


「どういうことよ。てかやっぱりこの家に盗聴器でも仕掛けているんじゃないの?」


「そんなことしていない。我の魔力が発動されたのを感じたから、見に来ただけだ」


「あら、そう。ならいいけど。アレクの仕業?」


「仕業とはなんだ。便利だろう?」


「えぇ、こんなの仕立て屋要らずじゃない。便利というか金儲けになるレベルよ」


「そうか? しかし、王族は透明人間になって採寸したのだろう。いやらしいとか言われたぞ?」


「魔力がない人たちからすると、未知数なことは理解できないからね。仕方ないわよ。ちゃんと説明したらよかったのに」


「面倒だからそうだと答えた」


「バカね……まぁいいわ。みんなよく似合っているわね。もう一枚は洗濯用に準備して、サラ用はもう必要ないから私が管理するわ」


ルーミーがリナに尋ねる。


「サラがどうしたんだ?」


「キラと暮らしたいとか駄々こねるから追い出しただけよ」


「おい、人手が足らないのにいいのか?」


「ホール、配膳係が足らなければ最悪アレクに女になってもらえればいいわよ。できるわよね?」


「えっ我か……? できないこともないが見た目だけで中身まで女にはなれんぞ」


「まぁそれで十分よ。あなたの出番はないと思うから心配いらないと思うわよ」


「そうか……ならいいが」


「でも、アレク様の女装とか見てみたいっ」


愛おしそうにチェリがアレクを見つめる。2人の視線が絡まり真っ赤な顔になる2人。


「ちょっと、あなたたちまで二人で暮らすとか言い出さないでよ」


「おいっ、我はそんなんじゃない」


「えっ……そんなんじゃないってどういう意味ですか」


チェリが目に涙をいっぱいためてアレクを見ていた。


「はいはい。ちょっと2人はこの話が終わったら話し合っていいからもう少し待って。ビリビリ腕輪とピアスの説明しちゃうから」


リナはビリビリ腕輪をアレクを変質者にたとえ、実施で見せた。アレクはフィールドで守っていたので、ある程度大丈夫だったそうだ。けれども、それでもかなり痛かったらしい。


電圧を下げろと怒られてしまった。致死レベルだったらしい。さすがは魔術師だから火傷程度で済んだらしいが……


ピアスはインカムの要領で、離れていても話すこともできるし、話を聞くこともできると説明した。


ルーミーには緑、ジェシーは青、ミーシャは黄、チェリは緑色のピアスを渡した。白と黒は夫妻たちとボンに渡そう。


便利な道具に令嬢たちは驚きつつ、こんなことができてしまうリナを改めてすごい姫だと思うのだった。

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