キラの申し出

 遅れてきたのか、キラとサラが手をつなぎながら戻ってきた。


そして、キラがランドに頭を下げ始めた。


「殿下、俺をこの島に置いてください。お願いします」

「お願いします」


サラも同じように頭を下げる。首筋には赤い印がたくさんついてある。


(ちょっと、あの二人なにやってるのよ)


リナは思わず顔をしかめてしまい、他の者も気づいたようである。ランドはキラにきつい口調で問いただす。


「お前たちは今まで何をしていた……?」

「俺は、家畜の様子が気になり見に行っておりました。サラにも付き添ってもらって……」

「そんなの言い訳だろう……証拠をたくさん残しておいてよくもまぁそんなことが言える……俺はできなかったのに……チッ」


最後の言葉を聞き逃さなかった3人がいた。もちろん、リム、ボン、テリーである。


すかさず、アレクがテリーに耳打ちする。


「あいつ、リナ嬢を抱こうと押し倒してたけど見事にスルーされたみたいだぞ。クックック」

「なんだとっ!!」


座っていたテリーはその話を聞き、思わず立ち上がりリナを見つめる。また、2人の視線が絡まってしまう。そこに、ボンが間に入る。


「あのー殿下、キラはあの肉料理に必要な動物を飼うのに必要なんですが……」

「そうか……なら、パキラはこの島勤務を命ずることにしよう。お前の家族にもそのようにしておく」

「ありがとうございます」

「待って、キラあなた結婚しているの? それなのに……私を?」

「まぁいいじゃないか。今はサラだけだし、もう浮気はしないよ」


2人の甘い空間を作り出す。テリーはその様子を横目にランドへと問い詰める。


「殿下は、リナに手を出したそうですね?」

「あぁ? お前には関係ないだろ。俺たちは結婚しているんだから」

「それはいつわり……」

「はいはい、2人とも喧嘩はやめなさい。それより勝手に呼び捨てるするなんてマジあんた何者よ?」

「まだ……気づかないのか……」

「どういうこと……?」

「リナ様、帰りの船の便がなくなります。お送り致しましょう」


並ならぬ雰囲気を感じ取ったボンはこいつらを早く追い出そうとしたのだった。


ランド御一行様はそのまま急いで、船便にて帰ることになったのだった。



 

 ようやくリナは緊張が解ける。


「あー長かった。けど、なにやらいい傾向ね。ボンあの二人どうだった?」

「それはそれは、熱心に見ていらっしゃいましたよ。てかリナ嬢は見てもないのによく色々わかりましたね?」

「あーそれは前世のおかげよ。こういうのはテンプレとか当たり前の世界観の設定として、ある程度は付属しているものじゃない」

「はい? ちょっと意味が解らないですけど」

「てか私魔石もらうの忘れたかも」

「えぇ?」


 ボンがリナに呆れていると、目の前には見たこともない男性が木箱を持っていきなり現れたのだった。

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