試食会終了後の出来事
リナはランドたちに最後の締めの挨拶をすることにした。
「この度は、私たちのレストランに来ていただきありがとうございます。今回いただいた意見を参考に今後さらに改善を加えていきたいと思います。また、次回も来ていただいてもよろしいでしょうか」
「おう。嫁に会いに来るのは当たり前のことだからな」
リナは思わず顔をしかめてしまう。
(頭でも打ったのかしら。気持ち悪いわね。今までそんな嫁発言なんかしたことなかったのに……)
「……ありがとうございます」
「次回は、リナの化粧した姿も見てみたい」
「あっ……はい。殿下がおっしゃるなら……」
「そうだ。魔石の話だ。この後二人で話がしたい」
「わかりました……それではこれでお開きにしたいと思います。ありがとうございました」
リナの一言を合図にレストランの従業員一同が頭を下げ、お礼の言葉を述べたのだった。
ランドの態度の変化にリナは動揺し、心中穏やかではなかった。
※※※
ボンは部屋に二人きりという言葉を聞き、リナの無防備な姿を思い出してしまい、鼻血が出てしまう。
(あんな無防備な顔で殿下に抱かれるのだろうか……)
手で隠すように鼻を抑え、腹が煮えくり返りながらも、うらやましさがこみ上げていた。
テリーは、ランドへと進言する。
「殿下、魔石の話であれば採取してきた俺も必要なのではないでしょうか。というより妃殿下に直接ご説明したいと思います」
「いや、それは俺たち話が終わってからだ。夫婦水入らずの時間を邪魔するつもりか」
ランドはテリーに苦言を申した。
「……わかりました。では、お待ちしております」
テリーはしぶしぶ引き下がったが、内心キレそうだった。
(なにが夫婦水入らずだよ。リナをこんな島で放置しているくせに。絶対あいつにはリナを渡さない)
アレクはテリーのみなぎる力が見て取れるようにわかる。
(おう、青春だな……ちょっと若いってうらやましいな)
ラミレスはランドの腹心であるため、リナへの思いは一生自分の中で閉じ込めていくつもりである。しかし、心がなぜかチクッと痛んだのだった。
ゼニスは1人、この美女をどうしたらモノにできるかを考え、キラはサラのことをずっと見つめていたのであった。
キラは皆が散らばろうとした中、こっそりとサラを一目のつかない場所へと呼び出す。
「サラ、俺にはお前しかいないんだ。やり直そう」
「……そんなの嘘よっ。私がそれだけ辛かったと思っているの?」
「その割には結婚して、不倫してやりたい放題だったようだが?」
ニヤリと笑顔でサラの汚点をついてくる嫌味な部分はかわっていなかった。
「……そうね。結婚しても不倫してもあなたとの時間ほどの幸せは感じられなかったの……」
「だろう。それは俺だって同じだ。サラ愛している」
「キラ、私もよ……」
2人はキスをして、愛がさらに燃え上がってしまったのだった。
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